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KANTA CANTA LA VITA

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2005年 09月 26日

ファミリーマート。

大手コンビニエンスストアのファミリーマートはフライドチキンの売り上げ総数が1億本に達したとのことです。店頭の広告看板にそう書いてありました。100000000本ってのはすごい数ですね。鶏5千万羽分をコンビニエンスストアで売ったんですよ。日本で考えれば、1億人がファミリーマートのフライドチキンを食い、食わなかったのは3千万人です。街にあふれている印象の強い携帯電話でさえ平成17年8月末の調査では88832300台の普及で、その携帯電話よりもファミリーマートのフライドチキンは世に出回っているということです。考えようによっては、日本国内で携帯電話を使用している人は僕を除いて皆、右ポケットに携帯電話、左ポケットにはファミリーマートのフライドチキンを入れていて、携帯電話を持っていない4千万人弱のうち1千万人くらいの人が、携帯電話の代わりにファミリーマートのフライドチキンを「携帯」している、なんてことも数字上では十分ありうるのです。おそろしいです、ファミリーマートのフライドチキン。

街にあふれかえっているのが携帯電話でなくファミリーマートのフライドチキンである状況を想像すると、もはやこれはグロテスクとしか言いようがありません。若者はファミリーマートのフライドチキンを手に通りを歩き、テレビCMや街頭広告では伊藤美咲がファミリーマートのフライドチキンを手に微笑んでます。専門ショップが乱立し、通勤電車ではファミリーマートのフライドチキンの匂いでいっぱいです。「本日は○○電車をご利用いただきまして誠にありがとうございます。お客様にお願い申し上げます。車内でのファミリーマートのフライドチキンのご利用は他のお客様のご迷惑になりますので、ビニル袋に包むかこっそり食べていただきますようお願いいたします。また、一番前と後ろの車両は終日ファミリーマートのフライドチキンOFF車両ですので、必ず袋に包んでその上でお手元のかばん等におしまいいただきますようお願い申し上げます。」こんな車内案内が聞こえてきそうです。おそろしすぎます、ファミリーマートのフライドチキン。

しかし実際には、ものすごくファミリーマートのフライドチキンが好きな人が日に何本も食していたり、宣伝効果を狙った社長の命令で新入社員がまとめ買いを義務付けられていたりと、1億本という数字はあまりあてになりません。まして、日本国内に6565店舗、海外に5364店舗(いずれも8月31日現在)もあるファミリーマートがファミリーマートのフライドチキンの販売を始めてからの合計本数であるはずなので、実のところ1店舗あたりの平均的な販売本数は取るに足らないものなのかも知れません。あくまで合計が1億本を越えたというだけで、それはいずれは超える数字だったのではないでしょうか。

だからといって、否、だからこそと言うべきでしょうか、これほどまでに世に普及し、売れに売れたファミリーマートとそのファミリーマートのフライドチキンにはこんな(↓)宣伝はして欲しくはなかったのです。

(画像は削除しました)



写真をクリックしてもよく見えなければ最寄のファミリーマートに走ってください。

「フライドチキン
飛ぶように売れて、1億本突破!!」


僕たちの食料になってくれた鶏を愚弄するのはやめてください!!いくら比喩でも「飛ぶように」はあまりにもひどすぎやしませんか。食うなとか売っちゃいけないなんて言っているのではありません。崩れかけてるとはいえ、食物連鎖の一環です。人間が鳥を食べるのは、人間が生きるためには仕方がないことなのです。そうではなく、食物にもう少し敬意とまではいかないまでも感謝くらいはしたらいいんじゃないか、ということです。翼を奪われ(手羽として店頭に並び)、首をもがれ(あれは何処に行くのかしら)、果ては胴体まで切り刻まれ(胸肉、ささみはスーパーの人気者)、足だけになってまで僕たちの食料となるため身を捧げてくれた鶏さんに申し訳がありません。国道176号線沿いのファミリーマート前を通り過ぎたとき、僕は本気で謝ってしまいました。人間は本当に馬鹿でごめんなさい、と。あるいは彼は、その短い一生で翼を広げ空を舞ったことすらないブロイラーかも知れないのですよ。それをあんな姿になってまで弄ぶとは!!しかもよりによって鳥類の象徴である飛翔をネタに笑いの要素を含んだ愚弄、侮蔑は一消費者として耐えられません。命をいただいて様々な財産を手にしているファミリーマートなのですから、感謝の気持ちがあればあんなキャッチコピーは生まれなかったはずなのです。人間の驕りと高慢が見えます。

確かにインパクトはありますよ。僕だって正直、はずかしながら笑っちゃいましたもの。それでも、飛ぶ者からその飛ぶということを奪っておきながら、「飛ぶように売れてます」はあまりにも無神経で虫が良すぎるし、だからこそ、そんな宣伝文句は無視できないのです。イカロスの昔から鳥人間コンテストの今日まで、「飛ぶ」ということは人間の憧れですし、その意味では鶏を含む鳥一般に、感謝だけではなく、まさに敬意を表すべきなのだと言えそうです、たとえそれが飛べないペンギンやダチョウ、そしてブロイラーであろうと。

今まで一度も僕はファミリーマートのフライドチキンを買ったことはないですが、確かにうまそうで何度か手を伸ばしかけたことはあります。今晩はファミリーマートのフライドチキンでビールなんかどうかしら、なんて考えることもしばしばありました。でもそんな僕が、これ以後ファミリーマートのフライドチキンを絶対買わないことを決めたという意味では、宣伝文句としても失敗だったと思いますし、それだけでなく果てはそんな下品な広告をするファミリーマートというコンビニエンスストアからも一人の客の足を遠のかせ、ちょっと遠いけどセブンイレブンに鞍替えしようかなあなどと思わせていることを、このコンビニエンスストア戦国時代だからこそファミリーマートの宣伝部の人に気づいて欲しいです。



人生が思うようにうまくいかなくて今の僕は、要ることに無神経質であると同時に要らんことに神経質です。ああ、本来なら今頃僕は、鳥のように大空をローマに向けて飛んでいたはずなのに。

by kantacantalavita | 2005-09-26 02:10 | 親愛なる日記


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