2005年 11月 04日
在大阪イタリア総領事館にてビザの受領をして参りました。思い返せば9月初旬にビザ申請期間が始まって丸2ヶ月(ただし、ご存知のように本申請からは丸4日ですが)、ついにこいつを手に入れました。ようやくイタリアでの生活が現実味を帯びてきました。 なぜこんなにもてこずったのか、なぜここまで遅くなってしまったのか、後々の思い出のためにここに記しておきます。 6月の末に東京イタリア文化会館にボローニャ大学入学のための書類を提出する、ただし後に知るところによると、その書類がイタリアの大学に届くのは9月末日。その間、受入確認証lettera di accettazioneなるものの発行を大学側に要求し続けるも実りないままに日々は過ぎ行く。大学側曰く、「入学用の書類(上記)が大学に届かないうちは、どのような理由であれ受入確認証は発行できない。Kanta SHIBATAの書類はまだ届いていない。」当然の言い分であるが、腑に落ちないのはなぜ6月末にて提出した書類が9月になっても大学に届かないのか。東京イタリア文化会館に書類はすでに送ってあるのかを確認するために電話すると、「9月末日までに送るよう法律で決められてますのでそうする。」とのこと。10月から授業が始まってしまうことを伝えると、「法律で授業は11月からと決められてるのに勝手に始める大学が悪い。」となぜかしらん非難を浴びてしまう始末。10月に入り、もう、書類は届いてないなどとは言わせないぞとばかり、メールを複数ある事務局に複数回送信するも、入学シーズン到来とやらでメールの返信が一切途絶える。時を同じくして先生からのメールの返事がなくなる。FAXを送ったり、事務局に電話してみたりするも梨の礫。もはや残された道は直接交渉、すなわちイタリアに観光ビザで入国し、受入確認証入手後に帰国しビザ申請という最終手段について思いをめぐらし始めた10月下旬、夏のバカンスシーズンにも奇跡のメール交換をした事務担当者ステファニア・ギッディさんからメールが届く。曰く、「大学側は10月6日にKanta SHIBATAの入学許可証scheda d'ammissioneを『TOKIOのイタリア大使館領事部』に送った。他の入学者の氏名も記載されたリストであるためプライバシー保護の理由により学生個人には送付できない。」とのこと。TOKIO?トキオ?トキオって東京だろうか?東京とはあの東京だろうか?東京?私は現在、大阪府民であるため、ビザ申請に関係する全ての手続きは在大阪総領事館でしている。そう決められている。その私の入学許可証がなぜ東京に?おそらくはリストという形態であるがために一括して東京に送付され、西日本の人間の分は担当である大阪総領事に届かないという状況ではないか。ちょっと待て。10月6日?2週間以上も前である。当然のことながら大使館からは何の連絡もない。その状況を当然と思えるまでに人間不信に陥っていたあの頃の私。慌てて在東京イタリア大使館領事部に電話をする。「ああ、柴田さん、なんか来てますねえ。」、私はその「なんか」をずっと待っていたのである。本当に。「なんか」が何であるかを問うと、電話の向こうがなにやら騒がしい、何かを探している様子。しばらくの沈黙。「見つけ次第折り返し連絡します。」見つけ次第?なくしたのだろうか、そのすごく大事そうな「なんか」を。折り返しの電話。「書類だと思ったのはメールでした。」虚偽の香り。ついさきほど、紙の束をひっくり返すような音をたてていたはずである。疑いつつも何のメールなのかを問う。「・・・少々お待ちください。」保留音の代わりに聞こえてきたのは電話の向こうで繰り広げられるイタリア語での男女の会話。男性が何か言って、答えて女性曰く、「・・・私はそれを見たのよ。」そこだけは確かに聞こえた。何か知らんの書類が届いて女性担当者はそれをその目で確認した、だが今その書類が見当たらない、そんな信じ難い状況が脳裏を掠める。男性担当者に何かを言われ女性担当者が電話口に戻る。「やはりメールでした。このメールを大阪の領事館に送っておきますので、あなたは領事館に行ってください。」なにはともあれ、ビザは申請できるらしい。ぬかりなく、大阪総領事館に電話で確認。「はい。FAXが届いてます。ビザ申請できますのでいらしてください。」なぜメールの転送でFAXが届くのかは全く理解できないが、どうやら数多く残る困難という壁のうちの何個目かをクリアしたようであることは判る。そして先日の申請と恐ろしく短時間で済んだ発行へと到る。 ビザを今日受け取ったのはいいですが、新たなトラブルの兆しをみつけました。イタリアへの留学生は、到着日から8日以内に例外なく滞在許可証を申請なければなりません。ビザは入国に必要なもので滞在許可証は滞在に必要なものです。ただこの滞在許可証の申請に必要になるであろう書類が、またもや手に入りませんでした。というかそのこともうわさでしか知らないのですが、例の入学許可証に領事館が押印したものが必要書類に含まれているそうです。僕はそれがありません。入学許可証がFAXだったためです。だったらビザ申請の時点でFAXを不可にしていればいいものをと思うわけですが、FAXが許可されているからこそビザ申請できた身としましては何もいえないつらい立場です。 ・・・ううむ。込み入った状況を説明するにはあまりに文章力が乏しいです。痛感しております。書けば書くほど判りにくくなるこの悲しさ。わかってもらおうとすればするほどわかってもらえなくなるこの歯がゆさ。そして何よりここでしか吠える事の出来ないこの無力感。 ここに書ききれなかったことも含めたいろいろの事柄が少しずつ、それでいて確実にずれて今回のような決定的にややこしい事態に発展し、そしてそれこそがまさにイタリア的で、そういう意味ではこのブログを作ったときにも言ったようにすでにイタリア留学は始まっているのだという思いを再確認しました。
by kantacantalavita
| 2005-11-04 17:41
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イタリアのお宝発掘集団『大阪ドーナッツクラブ』。人呼んでODC。シネマテークについてのコラムを担当してました。 大阪ドーナッツクラブ公式ブログ(代表によるブログ) 『Kanta Canta La Vita』が所属する上記「大阪ドーナッツクラブ」の代表で、FM802DJポンデ雅夫のブログ。 かのうとおっさんの「ああ密談」 大阪ドーナッツクラブメンバー有北クルーラーのもうひとつの顔。 映画保存協会 日本の映画保存のある部分は、この協会が支えています。 アトリエ・マニューク 映画と映画保存とその周辺(例えばビールとか俳句とか)について書くならば僕はこうしたい、それがこのHPにあります。 赤海老ログ 本職は歌手なのに、僕にとっての彼ら二人はワインの先生です。Colli Bolognesiを共有(共憂)をしてます。 C'è profumo 日本人音楽家の多いボローニャにあって、飲み会でしか会ったことがない友人yukaちゃんのHP。ピアニスト。 ホームムービーの日 NEWS 今こそ8mm。景色を映しただけで映画になる国、イタリアに8mmカメラを持って行きます。 The Internet Movie Database 誰が呼んだかIMDb、えらく重宝します。フォーマット検索とかは最近かなり気に入ってます。 all cinema ONLINE 映画検索に重宝してます。日本語表記はあてにならない場合もあるので注意が必要です。 チネテカ・ボローニャ Cineteca Bologna。ボローニャのシネマテークです。当ブログのカテゴリー『Cineteca Bologna』はこのシネマテークの当日の上映プログラム(概ね日本語)です。 ボローニャの映画館情報(2torri.itより) チネテカ以外の映画館情報。ボローニャにはこんなにたくさん映画館があるんです。 ボローニャの図書館検索 ボローニャには相当数の図書館がありますので、映画という19世紀以降の芸術を研究する僕のような学生が探す本は大抵見つかるはずです。 イタリア国立映画博物館 Museo nazionale del cinema。トリノ。2006年8月に聖地巡礼的に訪れた際には、その建物(モーレ・アントネッリアーナ)の頂上でエレベーターが作動しなくなり、急遽ヘルメットをかぶって徒歩で地上に降りるという映画的に稀有な体験をしました。 チネテカ・イタリアーナ Cineteca italiana。ミラノのシネマテーク。「見せるための保存」を目指しているとのことで、近年新しい上映室が増設されたようです。その名に「イタリア」を冠していることからもわかるようにその歴史はボローニャのそれよりずっと古い。 チネテカ・デル・フリウリ Cineteca del Friuli。北イタリアのフリウリ・ヴェネツィア・ジュリア州ウーディネ県ジェモナにあるシネマテーク。このブログでも報告したポルデノーネ無声映画祭はこのシネマテークが中心になっています。イタリア国内に5つあるFIAF加盟団体の中では最もマイナーなイメージがあるが、実は違いそう。行ってみたい施設のひとつ。 チネテカ・ナツィオナーレ Cineteca nazionale。ローマにある映画実験センター。国立の映画学校で、そのシネマテークはローマのど真ん中トレヴィの泉近くにあるとか。ミラノ、ボローニャ、ローマ間では上映用のフィルムのやり取りが多いように感じてます。 東京国立近代美術館フィルムセンター 日本におけるシネマテークとは何か?考えてみます。常設展や特別展は、何時間でも過ごせます。 シネマテーク・フランセーズ Cinémathèque française。説明無用(?)、世界中のシネフィルの聖地シネマテーク・フランセーズ。2005年、多くの映画人が通ったシャイヨー宮からベルシーに移転し新しい建物になりました。写真を見た限りですが、ものっすごくきれいみたいです。住みたい。 ドイツ映画博物館 DEUTSCHES FILMMUSEUM。フランクフルトにある映画の博物館(そのまま)。ドイツ語も勉強しますか。ドイツと言えばムルナウ財団は、ボローニャのシネマテークの上映でもしばしばその名前を目にします。 オランダ映画博物館 FILMMUSEUM。アムステルダムにある映画博物館。上記ドイツ映画博物館と一緒に訪ねてみようかと計画中。学生でも6.50ユーロ、会員でも4.50ユーロとはちと高いか。(英語あり) Antonio Pignottiコレクション 2006年の「ホームムービーの日(in Italia)」で映写機などの展示をしていたコレクターの方です。いつの間にかリンクしてくれていたので、晴れて初めてイタリアのHPと相互リンクになりました。(イタリア語) Planet World 大阪梅田のシネマテーク。大阪にプラネットありと謳われた「生きた」伝説。 Planetary Film Archives 上記プラネットのフィルムアーカイブです。資料整理のお手伝いをしました。 internet bookshop ITALIA イタリアの本が買えます。バカンスシーズンやその前後を除けばかなり信頼度は高いです。送料も高いですけど。 日本の古本屋 現実世界での古本屋めぐりも好きですが、電脳世界のほうが欲しい本がみつかったりします。 comfm.com イタリアのラジオがネットで聞けます。生のイタリア語を欲してる方にはお薦めです。 RADIO MARGHERITA イタリアのポップミュージックを新旧問わずに流しまくる秀逸なHP。ホームの下のところにある「Ascolta Radio Margherita (マイクの絵)」をクリックすると、Windows Media Playerで聴くことができます。 NHKラジオイタリア語版 その日のニュース約5分と曜日ごとに決められたテーマ約10分をイタリア語で聞くことができます。他の言語もあり。イタリアのラジオに比べ、音声が安定しているように思えます。 Consorzio Vini Colli Bolognesi ワインは全く無知に等しいですが、なぜかしら「おらが村主義」は大切にしていたいのです。日本で一番「ボローニャの丘」について詳しい人になりたいです。「ボローニャの丘」ワイン協会のHP(伊語or英語)。 大相撲 がんばれ力士。 インターネットでモンドリアン こういうのも好きです。 氷温熟成 Bravo! KANTA このビールを評したずっと年下の女の子曰く、「苦味の奥に甘さがある」。ううむ。僕のことを言ってるのでしょうか。 Google日本 何かと便利。 Wikipedia Japan 何かと便利。 以前の記事
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