2006年 11月 18日
数時間前の午前1時10分くらいにエミール・クストリッツァ監督作品『アンダーグランド』を観終えてチネテカから出てきたら、この寒い中、門の前で自己陶酔的にハーモニカを吹いている人がいました、よくわからない街ボローニャから『KANTA CANTA LA VITA』です。 ちょっと前に『今日は雨です。』というタイトルで大学の再登録、滞在許可証の更新の予約についてまとめて書きましたが、本日はその後日談。 去年取得した僕の滞在許可証は先月31日が期限だったため、更新手続きのための予約をなんとか取り付けたところまでは書きました。その際にも触れましたが、有効期限が切れる11月1日から予約日2月1日までの約3ヶ月もの身分のグレーゾーンは結局わからず終いでここまできてしまった感がありまして、これまでイタリア国内を旅行した時も、特に自家用車なんかに乗っていたら高速料金所であれ共同墓地前であれ、我々アジア人は少なからず警察に身分証と滞在許可証の提示を求められるという自らの経験から、年明けくらいには一度国外に旅行したいという思いも手伝って、 「いずれにせよ期限切れのまま指をくわえて更新日を待つ訳には行かない」 という結論に達し、色々調べた結果、否、色々調べてもらった結果、灰色を白に変える方法があると判明しまして、それが今回のタイトルにある証明書です。正確な名前は"Conferma appuntamento per il rinnovo del permesso di soggiorno"というもので、列に並んで自分の番が来たら窓口の担当者にその旨を伝え渡される用紙に「氏名 生年月日 国籍 予約日 予約時間 予約番号」を自分で記入し、確認後担当者がサインしハンコを押す、というのが一連の流れです。 例によって書くのは簡単ですが、入手までには少なからぬ関門が待っています。まず、朝8時半受け付け開始とあるため余裕を持って8時に到着したにもかかわらずその時点で、すでに50人以上の人が並んでいる、一日の受付可能人数が200人と決められるため競争が生まれるのは必然です。さらに次の問題は、その50人以上の人々が並ぶともなく並んでいる、列のようなものはあるけれど、明確な順番はなく追い越しごまかしが常の状態です。これは慣れてしまったというのもありますが、きっちりしていると言われる日本人には耐え難いものです。隙あらばこちらもごまかす、くらいのものがあると気持ちは楽です。8時半に受付が始まり、番号札が渡されるので順番までは自由です。霧の立ち込める旧市街をウィンドー・ショッピングをして時間をつぶし、頃合を見て窓口に向かいます。ここでもやや閉口します。外は寒い、と狭いオフィスに人々が押し合い圧し合いしています。番号札があっても、一部の人々はより前に進むこと、より窓口に近づくことしか考えられないようです。色んな言語と色んな不正確なイタリア語、係員の正確な怒号と皮肉が飛び交います。窓口へと続く道は完全塞がれていますが、でもそこでは僕の順番が迫ってるわけですから、当然の顔をしてぐいぐいと進むことが正当な権利として与えられます。窓口到着。担当者も慣れたもので"Conferma..."と言葉が続かずにいるとすでに彼女の手はある用紙に伸びています。記入事項は確認していたため、何の問題もなく書き込めます。僕の前のパキスタン人(イタリアでは南アジア人の総称みたいにパキスタン人といいますが彼は本物でした)も同じ書類の申請に来たらしく色々聞いてきます。知ってることは教えます。こちらが親切にするとあちらも親切で「先に行っていいよ」という顔をします。で、結局は彼と一緒に出したわけですが、彼は予約番号を書いていない、僕のほうには漏れはない、こうなると俄然展開はよくなります、できている方はさっさと片付ける心理が担当者に働くため、ろくに確認もせずドンとハンコを押して完了。ほとんどが僕の手書きの、それでも命の危険をいくらか減らす、否、命の危険を増やすことはない書類の受領はこうして為されます。 この書類の一番の問題は、これがあるからと言って国外出れるか、出れても再入国できるかが記されていないことですが、ないと困るしあっても困らないので持っておくことに越したことはなさそうなので、一応の満足は得られます。詳しいことを知っている人が、捜せば必ずいるという希望を持ってまた明日から生きていけそうです。
by kantacantalavita
| 2006-11-18 11:42
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イタリアのお宝発掘集団『大阪ドーナッツクラブ』。人呼んでODC。シネマテークについてのコラムを担当してました。 大阪ドーナッツクラブ公式ブログ(代表によるブログ) 『Kanta Canta La Vita』が所属する上記「大阪ドーナッツクラブ」の代表で、FM802DJポンデ雅夫のブログ。 かのうとおっさんの「ああ密談」 大阪ドーナッツクラブメンバー有北クルーラーのもうひとつの顔。 映画保存協会 日本の映画保存のある部分は、この協会が支えています。 アトリエ・マニューク 映画と映画保存とその周辺(例えばビールとか俳句とか)について書くならば僕はこうしたい、それがこのHPにあります。 赤海老ログ 本職は歌手なのに、僕にとっての彼ら二人はワインの先生です。Colli Bolognesiを共有(共憂)をしてます。 C'è profumo 日本人音楽家の多いボローニャにあって、飲み会でしか会ったことがない友人yukaちゃんのHP。ピアニスト。 ホームムービーの日 NEWS 今こそ8mm。景色を映しただけで映画になる国、イタリアに8mmカメラを持って行きます。 The Internet Movie Database 誰が呼んだかIMDb、えらく重宝します。フォーマット検索とかは最近かなり気に入ってます。 all cinema ONLINE 映画検索に重宝してます。日本語表記はあてにならない場合もあるので注意が必要です。 チネテカ・ボローニャ Cineteca Bologna。ボローニャのシネマテークです。当ブログのカテゴリー『Cineteca Bologna』はこのシネマテークの当日の上映プログラム(概ね日本語)です。 ボローニャの映画館情報(2torri.itより) チネテカ以外の映画館情報。ボローニャにはこんなにたくさん映画館があるんです。 ボローニャの図書館検索 ボローニャには相当数の図書館がありますので、映画という19世紀以降の芸術を研究する僕のような学生が探す本は大抵見つかるはずです。 イタリア国立映画博物館 Museo nazionale del cinema。トリノ。2006年8月に聖地巡礼的に訪れた際には、その建物(モーレ・アントネッリアーナ)の頂上でエレベーターが作動しなくなり、急遽ヘルメットをかぶって徒歩で地上に降りるという映画的に稀有な体験をしました。 チネテカ・イタリアーナ Cineteca italiana。ミラノのシネマテーク。「見せるための保存」を目指しているとのことで、近年新しい上映室が増設されたようです。その名に「イタリア」を冠していることからもわかるようにその歴史はボローニャのそれよりずっと古い。 チネテカ・デル・フリウリ Cineteca del Friuli。北イタリアのフリウリ・ヴェネツィア・ジュリア州ウーディネ県ジェモナにあるシネマテーク。このブログでも報告したポルデノーネ無声映画祭はこのシネマテークが中心になっています。イタリア国内に5つあるFIAF加盟団体の中では最もマイナーなイメージがあるが、実は違いそう。行ってみたい施設のひとつ。 チネテカ・ナツィオナーレ Cineteca nazionale。ローマにある映画実験センター。国立の映画学校で、そのシネマテークはローマのど真ん中トレヴィの泉近くにあるとか。ミラノ、ボローニャ、ローマ間では上映用のフィルムのやり取りが多いように感じてます。 東京国立近代美術館フィルムセンター 日本におけるシネマテークとは何か?考えてみます。常設展や特別展は、何時間でも過ごせます。 シネマテーク・フランセーズ Cinémathèque française。説明無用(?)、世界中のシネフィルの聖地シネマテーク・フランセーズ。2005年、多くの映画人が通ったシャイヨー宮からベルシーに移転し新しい建物になりました。写真を見た限りですが、ものっすごくきれいみたいです。住みたい。 ドイツ映画博物館 DEUTSCHES FILMMUSEUM。フランクフルトにある映画の博物館(そのまま)。ドイツ語も勉強しますか。ドイツと言えばムルナウ財団は、ボローニャのシネマテークの上映でもしばしばその名前を目にします。 オランダ映画博物館 FILMMUSEUM。アムステルダムにある映画博物館。上記ドイツ映画博物館と一緒に訪ねてみようかと計画中。学生でも6.50ユーロ、会員でも4.50ユーロとはちと高いか。(英語あり) Antonio Pignottiコレクション 2006年の「ホームムービーの日(in Italia)」で映写機などの展示をしていたコレクターの方です。いつの間にかリンクしてくれていたので、晴れて初めてイタリアのHPと相互リンクになりました。(イタリア語) Planet World 大阪梅田のシネマテーク。大阪にプラネットありと謳われた「生きた」伝説。 Planetary Film Archives 上記プラネットのフィルムアーカイブです。資料整理のお手伝いをしました。 internet bookshop ITALIA イタリアの本が買えます。バカンスシーズンやその前後を除けばかなり信頼度は高いです。送料も高いですけど。 日本の古本屋 現実世界での古本屋めぐりも好きですが、電脳世界のほうが欲しい本がみつかったりします。 comfm.com イタリアのラジオがネットで聞けます。生のイタリア語を欲してる方にはお薦めです。 RADIO MARGHERITA イタリアのポップミュージックを新旧問わずに流しまくる秀逸なHP。ホームの下のところにある「Ascolta Radio Margherita (マイクの絵)」をクリックすると、Windows Media Playerで聴くことができます。 NHKラジオイタリア語版 その日のニュース約5分と曜日ごとに決められたテーマ約10分をイタリア語で聞くことができます。他の言語もあり。イタリアのラジオに比べ、音声が安定しているように思えます。 Consorzio Vini Colli Bolognesi ワインは全く無知に等しいですが、なぜかしら「おらが村主義」は大切にしていたいのです。日本で一番「ボローニャの丘」について詳しい人になりたいです。「ボローニャの丘」ワイン協会のHP(伊語or英語)。 大相撲 がんばれ力士。 インターネットでモンドリアン こういうのも好きです。 氷温熟成 Bravo! KANTA このビールを評したずっと年下の女の子曰く、「苦味の奥に甘さがある」。ううむ。僕のことを言ってるのでしょうか。 Google日本 何かと便利。 Wikipedia Japan 何かと便利。 以前の記事
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