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KANTA CANTA LA VITA

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2007年 01月 03日

正月休みはあまりないみたい。

夕方、散歩に出かけたら街はすっかり日常に戻っていました。『KANTA CANTA LA VITA』です。

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【presèpio】(名、男)①プレゼーピオ →キリスト降誕の場を人形で表現した模型で、クリスマス(12月25日)のころから、御公現の祝日(1月6日)の翌日まで飾る。②《文》まぐさ桶(おけ)、馬屋;キリストが生まれた馬槽(まぶね)
---------------------------------------------------------伊和中辞典(小学館)より


イタリアの冬を飾るもののひとつにこのプレゼーピオがあります。この季節だと、街をうろつけば様々な商店のショーウィンドーの中にそれを見ることができますし、小物屋では素焼きの人形や飾り付け用のグッズが売られてます。年末には市も立ったりします。上に引用したように、キリストが生まれた場面を再現したもので、ナポリを始め南イタリアでは特に盛んだと聞きます。昨年末から開かれているプレゼーピオのコンクールを今日はのぞいてきました。

これまであまりしっかり眺めたことがなかったので、なかなか楽しめました。リアルなもの、創作を含んだもの、現代美術風なもの、抽象画、幻想的なもの、遊び心満載のもの、宗教にそれほど興味がなくても、想っていたより飽きさせません。展示そのものも楽しいですが、孫娘に説明してやってるおじいちゃん、じゃれあいながら楽しむ熟年カップル、どうでも良さそうな姉妹とその母、といった具合にそれを眺める人々を眺めるのもおもしろいです。おじさんが、「おい、この羊の顔はないだろ??」なんて真顔で言ってたりね。そんなのを見ていると、珍しく日本の家族を想ったりするのです。

このプレゼーピオ、その起源はエトルリア時代やローマ時代(紀元前数百年)の風習まで溯れるらしく、当時は祖先を模した小さな人形で家族の繁栄を祈願したもののようです。それがイタリアでは1223年にサンフランチェスコ・ディ・アッシジによってキリスト教における家族の象徴であろう「聖家族」、すなわちマリアとヨセフとその子キリストが集う場面を描いた(模型にした?)のが始まりとされ、15世紀頃に教会で普及し、17世紀に貴族の間で、追って民衆の間に広まったそうな(えらく端折った歴史ですので信じないでください)。なので、僕がプレゼーピオとそれを見つめるイタリア人家族を見ながら日本の家族の穏やかな一年を願うのは、あながち的外れでもないわけです。キリスト教の信仰があるかないかの違いだけで、家族を想うのは一緒、ということにしておきましょう。1年の始まりですから。

僕はコンクールでは、奥行きを上手に使っていた作品に投票しました。前映画的な雰囲気が気に入ったのです。人それぞれに好みが分かれるようで、「ううむ、これはひどいな。」「あら、そうかしら。私は好きよ。」などと言うおじさんおばさんのプチ品評会を聞くのも楽しいです。

クリスマス以降呑んだくれていましたが、こういう年始の感じ方もよいですね。

wikipediaでプレゼーピオの写真が見れます。(本文はイタリア語と英語)

ウィキペディア・イタリア語

ウィキペディア英語

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帰り道、今日で閉店という古本屋を見つけて、冷やかし気分で入って、店を出た時には4冊の本がビニル袋に入れられて僕の手に握られていました。半額の半額は安すぎる。この本屋の主らしき老夫婦は、近々年金生活に入るそうです。店じまいにもかかわらず、どこかしら幸せそうなのはそのせいだったのでしょうか。微力ながら彼らの幸せに貢献できて僕もうれしいのです。

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後記:完全に間違ってサンタントニオ・ディ・アッシジと書いてました。(1月4日修正)

by kantacantalavita | 2007-01-03 04:19 | 親愛なる日記


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