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2007年 04月 03日

映画とは何か ~イタロ・カルヴィーノ編~

イタロ・カルヴィーノItalo Calvinoというイタリア人作家をご存知でしょうか。かく言う僕も恥ずかしながら実はそんなに知らないのですけど、唯一読んだ『マルコヴァルドの四季Marcovaldo ovvero le stagioni in città』の不思議な雰囲気を覚えています。イタリアの20世紀文学を代表する作家のひとりです。

批評を書いたり、映画関連の本の序文を頼まれたりと、映画の造詣も深いカルヴィーノですが、映画雑誌に掲載されていた彼の記事で面白いものを見つけました。引用しましょう。

「映画とは、座席で鼻を鳴らし、息を切らし、すすり泣き、菓子をポリポリかじり、あなたの邪魔をし、出たり入ったりし、ときには無声映画時代のように字幕を大声で読んだりする、そうした人々の間に腰掛けることを意味します。そうした人々と、加えてスクリーン上で起こる物語が映画なのです。」
~1953年5月1日付け『チネマ・ヌオーヴォ』誌第10号の投稿より~

"Cinema vuol dire sedersi in mezzo a una platea di gente che sbuffa, ansima, sghignazza, succhia caramelle, ti disturba, entra, esce, magari legge le didascalie forte come al tempo del muto; il cinema è questa gente, piú una storia che succede sullo schermo."
Cinema nuovo, Anno II - N.10, 1 maggio 1953~


これは、僕らにはなかなか言えた言葉じゃありません。イタリアの観客は日本のそれに比べて圧倒的に行儀が悪いですから、今皆さんが想像している映画館の様子を5割増くらいでひどい状態にしたもの、それをカルヴィーノは「映画cinema」だと言うんですね。足癖の悪さ、鳴り響く携帯電話、上映中の話し声、ピンボケとずれたフレーム、上映前にスクリーンに映る文字を声に出して読んでしまう性質、これらにはいささか辟易とすることもありましたが、今ではずいぶん寛容になったものです。とは言え、あれ全部を映画だなどと言われると、若干映画を諸手を挙げて好きだとは言えなくなりそうですし、その反面、あれも映画の一部なのだからと、さらに悪童たちに寛容になれることだってありそうです。なかなか深い文章です。

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イタロ・カルヴィーノについては、イタリア文化人発掘調査団ODCのHP上で、先日ローマで初対面した同僚ハムエッグ大輔が『a LITTLE about a LOT』というコラムに書いてますのでそちらを参照ください。
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by kantacantalavita | 2007-04-03 05:09 | 映画とは何か(cinemaについて) | Comments(0)


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