KANTA CANTA LA VITA

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2007年 04月 22日

イライラ・・・、はっぴい・いいえ・えんど(イタリア式息抜き)

e0017332_423523.jpgイライラすることもあります『KANTA CANTA LA VITA』です。

そんなときは、市役所に出かけましょう。庁舎の中に入らなくても大丈夫、探せばきっと見つかるはず、「婚姻届の掲示板Annuncio del matrimonio」。

おもしろいもので、新郎と新婦の氏名、生年月日と出生地住民登録地が記載されています。ボローニャの中心地マッジョーレ広場に面する市庁舎の中庭のようなところに、昨日は50枚くらい貼ってありました。日によっては、まさに今登録して来たのか知らん、花嫁と花婿、その友人家族が立ち話をしている光景も見かけます。一様に幸せな笑顔です。

この結婚掲示板、何が面白いと言って、まず、イタリア人の氏名が面白い。イタリアをはじめ欧米では、名前の数はそう多くなく、マリオやらアントニオやらフランチェスカやらクラウディアやら、聖人の名前だったりおじいちゃんおばあちゃんの名前だったり、歴史的に極端に名前の数が増えるような世界ではありません。日本のような、漢字が一文字ずつ書き込まれた何千枚ものカードから2、3枚取り出して組み合わせて作ったかのような突拍子もない名前はそう多くありません。そのかわり複数の名前の組み合わせの人がいたりして、ピエル・パオロやマリア・ピアなんて映画人もいました。3つつながっている人もいます。きっと想像もつかない愛称があることでしょう。

では、名前の数が限られているなら何でもって区別するかというと、苗字です。イタリアには本当にたくさんの苗字があります。地域性があり、意味がある。日常生活では、「名前・苗字」の順で使うことが多いですが、公式の場や初めてかける電話などでは苗字を先に言ったりします。僕は電話予約などでもKantaと名前を言ってしまいますが。昔、CantamagliaやCantagalloといった、cantaと付く苗字についてレポートを書こうとして途方に暮れたことがあります。ありすぎるんですもの。

面白いサイトがあります。左上のcognome(苗字)に調べたい苗字を打ち込むと、複数のグラフを見ることができます。どこの地域にその苗字が多いか、県別、地形別、というふうです。そんなこんなで、新婚さんの苗字を見ていると、いろんなことが想像できる。勝手に物語ができちゃうわけです。"u"とか"dda"で終わる苗字の人がいたらその出生地を見るとほとんど間違いなくサルデーニャ人です。Diotallevi(Dio ti allevi神があなたを助けますように)とかNascimbene(Nasci in bene幸福のうちに生まれる)などは、捨て子に与えられた苗字と記憶しています。前者がバチカンのあるローマに集中しているのはそのせいでしょうか。BerlusconiやViscontiはミラノに多いですね。昔、Giapponese(日本人)という苗字のトスカーナ人に会ったことがあります。気になりますよね。ちなみに、飲み屋で知り合ったウェイトレスのお姉ちゃんの苗字でもあったCantaはシチリアやピエモンテに多く、そうした南北での分布は南から北への移住の歴史があることがこんなところからもわかるのです。好きな苗字にCantalupoというのがあります。起源的にはcanta(歌う)もlupo(狼)もあまり関係なかったはずですが、響きとして『ダンス・ウィズ・ウルヴズ』みたいでしょ、「こぶしを突き出す女」とかね。

話が逸れました。まず、氏名で楽しめる。ついで、新郎新婦の生年月日を確認する。イタリアでも晩婚化が進んでます。20代前半での結婚などは珍しいくらいです。年齢差婚もしばしば見かけます。10代のアルバニア人女性と40代のイタリア人男性の結婚の間にはどんな物語があるのでしょう。興味深いのは50歳を過ぎてからの結婚が少なくないこと。未亡人と男やもめの集まりがあるとは聞いたことはありますが、果たして。1930年代生まれのカップルには少々肝を抜かれました。しかも奥さんの方はチュニジア生まれで、30年代生まれのチュニジア生まれイタリア人女性といえばクラウディア・カルディナーレが思い浮かびます。

それぞれの出身地も気になるところです。同じ年に同じ町に生まれた老年カップルは、どういう経過で今結婚するに至ったのでしょう。聞いたこともない別々の土地からやってきたふたりがボローニャでであって結婚する、これはとんでもなくすごいことですよ。国籍も様々です。中国人の若い夫婦がいて、セネガル人のカップルがいて、少なからぬロシア人妻がいて、アメリカ人夫がいて、イタリアという国のひとつの側面が見て取れます。

e0017332_4361674.jpgそんなこんなでこの結婚掲示板を僕のようなアジア人が長いこと眺めていると、いつもは素通りの人たちが、いったいこいつは何をそんなに見ているんだと言わんばかりに一緒になって眺めだしたりします。おばさんとかの幸せそうな顔、何がそんなにうれしいのか想像の域を超えませんが、それでも「なんとなくよく」わかります。僕の眉間のしわも取れてますもん。

警察のおじさんが怪しげな視線を投げかけ始める頃にはこちらもずいぶんすっきりしてて、気分良く家路につくことができるのです。

一度眺めてみてはいかがでしょう。以上、イタリア式息抜き"Distrazione all'italiana"でした。

画像は、上:『ああ結婚』(Matrimonio all'italiana、直訳は「イタリア式結婚」、ヴィットリオ・デ・シーカ監督、1964年)、下:『イタリア式離婚狂想曲』(Divorzio all'italiana、直訳は「イタリア式離婚」、ピエトロ・ジェルミ監督、1961年)
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by kantacantalavita | 2007-04-22 04:13 | 親愛なる日記 | Comments(2)
Commented by migi at 2007-04-22 22:08 x
今や『個人情報保護法』でなんでもかんでも非公開にされている
日本とはえらい違いやなぁ~!
以前ローマで住んでたマンション、『maccaroni』さんが居たよーな?
我が家ではもちろん『マカロニさん』って呼んでました。
Commented by kantacantalavita at 2007-04-22 22:28
migiちゃん、コメントありがとう。
今まさに俺の同居人がMACCARONEだよ。
表札には、「Orlando, Maccarone, Kanta」って書いてある。大家が書いたんだけど、なんでか(理由は明らか)俺だけ名前が書かれてるよ。面白いね。


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