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2007年 07月 01日

Il cinema ritrovato 2007(ボローニャ復元映画祭点描その1)

【初日】 2007年6月30日 土曜日 

さて。午前11時にチケットを買いに、チネテカに行く。学生用のパス(20ユーロ)を買ったその足で、レンツォ・レンツィ図書館で開催されている書籍とDVDとポスターの販売コーナーに向かう。ジャン・デズメ関連本(Ivo Blom, Jean Desmet and the Early Dutch Film Trade, Amsterdam University Press, Amsterdam, 2003)と映画祭で特集される未見のイタリア人映画監督ラッファエッロ・マタラッツォ関連本(Angela Prudenzi, Raffaello Matarazzo, La Nuova Italia Editrice, Firenze, 1990)を早速購入。映写技術に関する図鑑みたいな大型本があるが、恐らくこれも期間内に入手するだろう。DVDも数点、目をつける。

最初の上映が14時45分からなので、映画祭とは関係ないが、国立家庭映画アーカイヴ(Archivio nazionale del film di famiglia)の見学に行く。こちらの報告は場を改めてすることにするが、興奮した。

14:45- Ritrovati & Restaurati ~再発見と修復の特集~
 ・"MACISTE IMPERATORE"
  監督: Guido Brignone
  出演:Bartolomeo Pagano
  製作:イタリア 1924年 
  35mm 1650m 80分(18fps) 染色 インタータイトル:イタリア語
  伴奏:Antonio Coppola(ピアノ)
【ひとこと】 アルベルト・バルベーラAlberto Barbera (Museo Nazionale del Cinema) とダヴィデ・ポッツィDavide Pozzi(L'Immagine Ritrovata)による解説。作品の「政治性」。"Maciste"、"Maciste innamorato"に続くマチステものの復元第3弾。オランダで2年前に見つかったナイトレートのプリントから。オランダ語だったので、国立博物館所蔵の資料からイタリア語のインタータイトルを再構築。欠損部分には、10コマの黒画面が挿入されている。カビリアから10年が過ぎるも、パガーノの力技は健在。「マチステは人間を軽々と持ち上げ、放り投げさえする」という定型文的な演出ができあがっている。マスケリーノを用いた縦長/横長のフレーム。劇場で女の踊り?を王子が見るシーン、幾何学模様のセット、ワン・ショット内で変わるフィルムの色、劣化による画の消失などで、独特の雰囲気がある。モーター・ボートを鎖一本で停めるマチステの筋肉。本当は禿げてるバルトロメオ・パガーノは劇中カツラをかぶり、マチステの役を演じる時にはハゲヅラをかぶる面白さ。映画内映画的なカツラ内カツラ。終幕直前に「いったいお前は誰なんだ?」と聞かれ、「マチステ」と答えるかと思ったら、「真の王の忠実なるしもべ」と答えたのには幾分残念。隣の上映室では、ロッセッリーニ関連のオープニング・イベント。大好きなマチステだから、書くことは多いが、それ以外もガス欠を恐れず書けるうちに書こうという決意。

16:15- Cento anni fa: i film del 1907 ~100年前 1907年の映画~
第1部 1907年6月30日から7月7日の間にボローニャで上映された作品特集 
 ・"I MOMENTI NERI DELLA SIGNORA"
  製作:Pathé フランス 1907年
  35mm 73m 5分(16fps) 白黒  
 ・"IL VARO DELLA CORAZZATA "ROMA" (ALLA SPEZIA)"
  製作: (Cines) イタリア 1907年
  監督:(Filoteo Alberini) (Italia/1907)
  35mm 100m 5分30秒(16fps) 白黒
 ・"GENOVIEFFA DI BRAGANZA"
  製作: Pathé フランス 1907年
  35mm 192m 10分30秒(16fps) カラー
 ・"LA CINTURA ELETTRICA"
  製作:Pathé フランス 1907年
  35mm 142m 8分(16fps) 白黒
 ・"LO SCARABEO D'ORO"
  製作:Pathé フランス 1907年
  監督:Segundo de Chomón
  35mm 48m 3分(16fps) カラー
【ひとこと】現在のボローニャの映画館情報を発信しようとする者にとって、100年前の映画館情報が面白くないわけがない。チネテカの図書館で働いているLuigi Virgolinの発表。 頂いた資料の精読が楽しみ。①暴れまくる女性。②潜水艦の進水式は、イタリア映画の父のひとり、フィロテオ・アルベリーニによるもの(らしい)。③赤、黄、セピアなどの着色フィルムか。鹿の乳で子供が育ち、悪者は処刑される。女の唐突な死には失笑も。墓と鹿。ふたつの言語によるインタータイトル(フランス語と?)。④電撃ベルトによる精力回復。特殊撮影に見えるほどに出演者たちの動きにはキレがある。フライング・ボディプレスのおばさん。⑤セグンド・ドゥ・ショモン監督作品。水から花火への変化と激化に目が眩む。手仕事とおぼしき着色フィルム。どこかで見たか、あるいは授業での言及があったか、「コガネムシ」というモチーフは知っている。

第2部 ちょっとあまりにも刺激的過ぎる特集
 ・"LE COUCHER DES MARIÉS"
  製作:Pathé フランス 1907年
  35mm 80m 4分(16fps) カラー
 ・"BADEN VERBOTEN"
  製作:Saturn-Film オーストリア 1907年
  35mm 25m 1分(16fps) 白黒
 ・"SKLAVENMARKT"
  製作:Saturn-Film オーストリア 1907年
  35mm 50m 3分(16fps) カラー
 ・"IM MALATELIER"
  製作:Saturn-Film オーストリア 1907年
  35mm 50m 3分(16fps) 白黒
 ・"EINE MODERNE EHE"
  製作:Saturn-Film オーストリア 1907年
  35mm 107m 6分(16fps) カラー
 ・"DAS EITLE STUBENMÄDCHEN"
  製作:Saturn-Film オーストリア 1907年
  35mm 62m 3分30秒(16fps) 白黒
 ・"EINE SCHWIERIGE BEHANDLUNG"
  製作:オーストリア? 1907年?
  35mm 20m 1分(16fps) 白黒
 ・"BEIM FOTOGRAFEN"
  製作:Saturn-Film オーストリア 1907年
  35mm 50m 3分(16fps) 白黒
  伴奏:1部2部ともにDonald Sosin(ピアノ)
【ひとこと】この特集は、基本、すべて「エロ」である。Nikolaus Wostry (Filmarchiv Austria)が解説。①以外はすべてオーストリアの作品で、すべてにヌードが含まれる。②は昨年のこの映画祭でも、同ポルデノーネでも見ている。特集の意図(1907年)に反してないか。⑤は傷みがひどく、白黒なのにフレーム外に青色が見え、しかもフォトグラムの上下が重なっているという奇妙な体験。本編の後の黒画面にも何か(食事シーン?)が映っている。圧巻の⑦は分娩ベッド?の上の女性をいじくりまわす、それだけの作品。総じて、登場人物には見えないのに、観客には丸見えという「エロ」の本質。カラッチの「ヴィーナスとサテュロス」の背中を思う。同時代のパテとサトゥーン・フィルム、フランスとオーストリアの比較。以降、モノトーンでも着色等の色が見られれば、カラー・フィルムとみなす。カタログでは色がついていてもBn(bianco e nero、白黒)と記される場合があるので、メモをきっちり取るようにする。1部2部ともに、特集の企画者Mariann Lewinskyが解説。

18:00- Matarazzo. Romanzi popolari ~マタラッツォ特集~
 ・"TRENO POPOLARE"
  監督: Raffaello Matarazzo
  イタリア 1933年 白黒 35mm 62分
【ひとこと】エロに夢中(もちろん冗談)になって、本特集の企画者であり、批評家でもあるTatti Sanguinetiの解説を聞き逃す。上映室に入った瞬間に上映開始。ニーノ・ロータNino Rotaの映画デビュー作。オルヴィエートに到着するまでの序盤はまさに彼の独壇場で、列車の映像と音楽のシンクロに喜ぶ。以前友人が記していたが、列車というのはシチュエーション・コメディのために存在するようなもので、人間関係とその描写という無数の挿話がそれを物語る。列車が動き出すまでの台詞無しのシークエンスは、かなり満足。全編通して、細かいギャグには事欠かない。オルヴィエートの楽団の指揮者(指揮中に一瞬振り返る)は監督自身。

22:30- Festa di benvenuto! ~歓迎イベント!~
【ひとこと】スコピトーンScopitoneという、フィルム映像も見れるジューク・ボックス。59年にイタリアで発表されたとか。今回の上映では、フィルムは当時の16mmをそのまま使っているので、褪色や引っ掻き傷が多いけれども、「それがこのフィルムの生涯なんだ」とベルンのシネマテーク(Kinemathek Bern)からの企画者は言っていた。MTVで現在見れる映像なんかに比べれば、ロケ撮影、手持ちカメラなど、えらく素朴である。ベルン・シネマテークは、機材の収集で知られているとのことで、スコピトーンの上映以外にも、紙プログラムには明記されていない「カーボン・アーク」の光源による映写機で1907年のフィルムを映写。現在の光源と比較すると「やや黄色く、画に深みがある」らしい。35mmに関しては同じフィルムを二度上映したので、2回めは映写機の側で見て、むしろ映写機を眺め続け得がたい映画経験をする。噂には聞いていた、炭素棒の調整をし続けねばならない映写を間近に見ることができて喜んでいる。
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by kantacantalavita | 2007-07-01 03:43 | 映画経験(filmについて) | Comments(0)


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