2007年 07月 06日
【7日目】 2007年7月6日 (金曜日) 9:00- Asta Nielsen: il linguaggio dell’amore ~アスタ・ニールセン特集~ ・"LASTER DER MENSCHHEIT" 監督:Rudolf Meinert 製作:ドイツ 1926年 35mm 1985m 87分(20fps) 白黒 ドイツ語インター・タイトル 【ひとこと】Maud Nelissenの伴奏。数年映画を離れていたニールセンの映画復帰作。45歳、太っててびっくりした。首の太さ、背中の広さ。電飾のラップ、影で描かれたバンド、ある朝のニールセンをチルト・ダウンで撮る(死んだような表情、パイプ)。ショットの等級を変えながら、銃と顔を繰り返す。一瞬、質素な格好(ほとんど襤褸)を着たニールセンのショットが入る場面があるが意図はわからず。禁断症状の出た男と割れた鏡。 10:45- Cento anni fa: i film del 1907 ~100年前 1907年の映画特集~ ・"DRAME A SÉVILLE / CORRIDA" 製作:Pathé フランス 1907年 出演:Max Linder 35mm 265m 15分(16fps) 白黒 仏独インター・タイトル ・"COCHON DANSEUR" 製作:Pathé フランス 1907年 35mm 100m 5分30秒(16fps) 白黒 ・"LA MAISON ENSORCELÉE" 監督:Segundo de Chomón 製作:Pathé フランス 1907年 (Francia/1907) R.: . Prod.: Pathé. D.: 6’30’’ ・"LA COURSE AUX POTIRONS" 製作:Gaumont フランス 1907年 35mm 134m 7分(16fps) 白黒 ・"LE DOMESTIQUE SE VENGE" 製作:Pathé フランス 1907年 35mm 54m 3分(16fps) 白黒 ・"LE PENDU" 製作:Pathé フランス 1907年 出演:Max Linder 35mm 100m 5分30秒(16fps) 白黒 ・"CATCHING A FOX" 製作:ドイツ 1907年 35mm 100m 5分30秒(16fps) ・"LE PETIT CHAPERON ROUGE" 製作:Pathé フランス 1907年 35mm 97m 5分(16fps) 白黒 ・"L'HOMME AIMANTÉ" 製作:Gaumont フランス 1907年 監督:Romeo Bosetti 35mm 150m 5分(16fps) 白黒 ・"UNE FERME AUX AUTRUCHES" 製作:Eclipse フランス 1907年 35mm 67m 4分 白黒 【ひとこと】Mariann Lewinskyの解説。Neil Brandの伴奏。上映前にピアノの調律が行なわれる。グランドピアノの中を初めて見た貴重な映画外体験。調律士、数人のピアニストの確認作業がおもしろい。一個の鍵盤を鳴らすだけで、「ほらね?」というような瞬間には驚いたが、当然のことなのだろう。①オリジナルは253mだが上映版は155m。闘牛の場面が圧巻。②踊る豚の着ぐるみ。映像的にどうとかではなく、豚の細部が気持ち悪い(牙、目、鼻のしわ、べろ)。③お化け屋敷。透けた布と骸骨(ラップ)、コマ撮りの食卓の、本来動いていないはずの動作の細かさに拍手。④転がるかぼちゃ。もうちょっとヒネリがほしい。ハイライトは頑ななロバ。⑤歯医者と獣医の看板を取り替える。André Deed。⑥28mmポジからの復元。粗い画。首吊りをすぐに助けない。自転車の空気入れで復活。⑦キツネ狩り、犬に食わせたり、死んでるものを動かして喜ぶ人たち。⑧赤頭巾。実際の狼(?)を起用。赤頭巾は食べられてFin。救いはないが前作⑦のカウンターパンチとも言える。⑨磁石の鎖帷子。ゴーモン作品のELGEマークはパテのニワトリに次いでよく見かける。⑩ダチョウ。 12:00- Ritrovati & Restaurati ~再発見と復元特集~ ・"O MAGOS TIS ATHINAS" 監督:Achilleas Madras 製作:ギリシャ 1922年~1931年 35mm 48分 カラー(染色 一部手着色) ギリシャ語インター・タイトル 【ひとこと】60年代に発見された素材。1922年に撮影開始された未完の作品の素材を一部用いて、1931年に別作品として完成する。ギリシャからは初のCinema Ritrovato参加作品。制作過程の混乱のせいか、インター・タイトルはギリシャ語を基本とし、その下に英語、あるいはフランス語のものがつけられる。群集と神殿の取ってつけたような合成。実際の神殿がそのままセットになるギリシャ、それを生かすためのロング・ショットが良い。染色には恐らく褪色と思えるものがしばしば。画面左が青いのに、中央より右はセピア。唐突な手着色、黄色の髪の毛、黄緑の服、赤い布。Marco Dalpaneの伴奏。 14:45- Omaggio a Michael Curtiz ~マイケル・カーティス特集~ ・"NOAH'S ARK" 監督:Michael Curtiz 製作:アメリカ 1928年 35mm 2881m 105分(24fps) 白黒 英語字幕 【ひとこと】サウンド版。サウンドとトーキーが合体した不思議な作品。列車事故や洪水シーンのセットと合成はとんでもない。現代劇が史劇に替わるという語り方も嫌いではない。時代間の飛び方におもしろモンタージュもある。 16:30- Asta Nielsen: il linguaggio dell’amore ~アスタ・ニールセン特集~ ・"DER ABSTURZ" 監督:Ludwig Wolf 製作:ドイツ 1922年 35mm 1928m 84分(20fps) 白黒 【ひとこと】Maud Nelissenの伴奏。画面サイズの誤り、インター・タイトルの枠組みが切れていて気づく。たまたま映写室の真下の席に座っていて、誤りに気づいた直後に指示が聞える。何かを「前に移動させる」らしい。しばし、マスケリーノやレンズの調節(上映は続いている)があったあとで、適正なものになる。 フィルム表面が溶解した劣化が後半続くが、ニールセンの画が失われていない奇跡を喜び、生き残ったプリントに感謝する。男殺害の知らせを受けたニールセンの演技のモンタージュに違和感があるのは、本来長廻しで撮った彼女の演技を、「切って貼った」んじゃないかという印象。鏡に映る自分を見つめるショット(カメラ目線)の迫力。 18:15- Matarazzo. Romanzi popolari ~ラッファエッロ・マタラッツォ特集~ ・"TORNA!" 監督:Raffaello Matarazzo 製作:イタリア 1953年 イタリア語版 出演:Amedeo Nazzari/Yvonne Sanson 【ひとこと】時代はカラーである。Ferraniacolor。灰色や水色っぽい服に象徴される「青く冷たい画面」は、イヴォンヌ・サンソンの赤い唇のためにある。こういう思い込みは良くないのだが、重い内容なのに画面を駆け巡るワイプ(上下左右、タクシーワイプ再び)はどうしてもコメディ的である。教訓は、「手紙には日付を書け」、である。 22:00- Ritrovati & Restaurati ~再発見と復元特集~ ・"DR. STRANGELOVE OR: HOW I LEARNED TO STOP WORRYING AND LOVE THE BOMB" 監督:Stanley Kubrick 製作:アメリカ 1964年 英語版 35mm 96分 白黒 【ひとこと】マッジョーレ広場での野外上映。Grover Crisp (Sony Columbia)の解説。日本では(たぶん)まだされたことのない4kでのデジタル復元版。冒頭の雲、会議室の奥にあるビュッフェに差し込む外光、戦闘シーン。フィルムとの区別がつけられないのは言うまでもない。野外上映でこのクオリティだぞ。失われたオリジナル・プリントと並べて上映したい叶わぬ欲求。飛行機の合成は完璧である。
by kantacantalavita
| 2007-07-06 03:36
| 映画経験(filmについて)
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イタリアのお宝発掘集団『大阪ドーナッツクラブ』。人呼んでODC。シネマテークについてのコラムを担当してました。 大阪ドーナッツクラブ公式ブログ(代表によるブログ) 『Kanta Canta La Vita』が所属する上記「大阪ドーナッツクラブ」の代表で、FM802DJポンデ雅夫のブログ。 かのうとおっさんの「ああ密談」 大阪ドーナッツクラブメンバー有北クルーラーのもうひとつの顔。 映画保存協会 日本の映画保存のある部分は、この協会が支えています。 アトリエ・マニューク 映画と映画保存とその周辺(例えばビールとか俳句とか)について書くならば僕はこうしたい、それがこのHPにあります。 赤海老ログ 本職は歌手なのに、僕にとっての彼ら二人はワインの先生です。Colli Bolognesiを共有(共憂)をしてます。 C'è profumo 日本人音楽家の多いボローニャにあって、飲み会でしか会ったことがない友人yukaちゃんのHP。ピアニスト。 ホームムービーの日 NEWS 今こそ8mm。景色を映しただけで映画になる国、イタリアに8mmカメラを持って行きます。 The Internet Movie Database 誰が呼んだかIMDb、えらく重宝します。フォーマット検索とかは最近かなり気に入ってます。 all cinema ONLINE 映画検索に重宝してます。日本語表記はあてにならない場合もあるので注意が必要です。 チネテカ・ボローニャ Cineteca Bologna。ボローニャのシネマテークです。当ブログのカテゴリー『Cineteca Bologna』はこのシネマテークの当日の上映プログラム(概ね日本語)です。 ボローニャの映画館情報(2torri.itより) チネテカ以外の映画館情報。ボローニャにはこんなにたくさん映画館があるんです。 ボローニャの図書館検索 ボローニャには相当数の図書館がありますので、映画という19世紀以降の芸術を研究する僕のような学生が探す本は大抵見つかるはずです。 イタリア国立映画博物館 Museo nazionale del cinema。トリノ。2006年8月に聖地巡礼的に訪れた際には、その建物(モーレ・アントネッリアーナ)の頂上でエレベーターが作動しなくなり、急遽ヘルメットをかぶって徒歩で地上に降りるという映画的に稀有な体験をしました。 チネテカ・イタリアーナ Cineteca italiana。ミラノのシネマテーク。「見せるための保存」を目指しているとのことで、近年新しい上映室が増設されたようです。その名に「イタリア」を冠していることからもわかるようにその歴史はボローニャのそれよりずっと古い。 チネテカ・デル・フリウリ Cineteca del Friuli。北イタリアのフリウリ・ヴェネツィア・ジュリア州ウーディネ県ジェモナにあるシネマテーク。このブログでも報告したポルデノーネ無声映画祭はこのシネマテークが中心になっています。イタリア国内に5つあるFIAF加盟団体の中では最もマイナーなイメージがあるが、実は違いそう。行ってみたい施設のひとつ。 チネテカ・ナツィオナーレ Cineteca nazionale。ローマにある映画実験センター。国立の映画学校で、そのシネマテークはローマのど真ん中トレヴィの泉近くにあるとか。ミラノ、ボローニャ、ローマ間では上映用のフィルムのやり取りが多いように感じてます。 東京国立近代美術館フィルムセンター 日本におけるシネマテークとは何か?考えてみます。常設展や特別展は、何時間でも過ごせます。 シネマテーク・フランセーズ Cinémathèque française。説明無用(?)、世界中のシネフィルの聖地シネマテーク・フランセーズ。2005年、多くの映画人が通ったシャイヨー宮からベルシーに移転し新しい建物になりました。写真を見た限りですが、ものっすごくきれいみたいです。住みたい。 ドイツ映画博物館 DEUTSCHES FILMMUSEUM。フランクフルトにある映画の博物館(そのまま)。ドイツ語も勉強しますか。ドイツと言えばムルナウ財団は、ボローニャのシネマテークの上映でもしばしばその名前を目にします。 オランダ映画博物館 FILMMUSEUM。アムステルダムにある映画博物館。上記ドイツ映画博物館と一緒に訪ねてみようかと計画中。学生でも6.50ユーロ、会員でも4.50ユーロとはちと高いか。(英語あり) Antonio Pignottiコレクション 2006年の「ホームムービーの日(in Italia)」で映写機などの展示をしていたコレクターの方です。いつの間にかリンクしてくれていたので、晴れて初めてイタリアのHPと相互リンクになりました。(イタリア語) Planet World 大阪梅田のシネマテーク。大阪にプラネットありと謳われた「生きた」伝説。 Planetary Film Archives 上記プラネットのフィルムアーカイブです。資料整理のお手伝いをしました。 internet bookshop ITALIA イタリアの本が買えます。バカンスシーズンやその前後を除けばかなり信頼度は高いです。送料も高いですけど。 日本の古本屋 現実世界での古本屋めぐりも好きですが、電脳世界のほうが欲しい本がみつかったりします。 comfm.com イタリアのラジオがネットで聞けます。生のイタリア語を欲してる方にはお薦めです。 RADIO MARGHERITA イタリアのポップミュージックを新旧問わずに流しまくる秀逸なHP。ホームの下のところにある「Ascolta Radio Margherita (マイクの絵)」をクリックすると、Windows Media Playerで聴くことができます。 NHKラジオイタリア語版 その日のニュース約5分と曜日ごとに決められたテーマ約10分をイタリア語で聞くことができます。他の言語もあり。イタリアのラジオに比べ、音声が安定しているように思えます。 Consorzio Vini Colli Bolognesi ワインは全く無知に等しいですが、なぜかしら「おらが村主義」は大切にしていたいのです。日本で一番「ボローニャの丘」について詳しい人になりたいです。「ボローニャの丘」ワイン協会のHP(伊語or英語)。 大相撲 がんばれ力士。 インターネットでモンドリアン こういうのも好きです。 氷温熟成 Bravo! KANTA このビールを評したずっと年下の女の子曰く、「苦味の奥に甘さがある」。ううむ。僕のことを言ってるのでしょうか。 Google日本 何かと便利。 Wikipedia Japan 何かと便利。 以前の記事
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