KANTA CANTA LA VITA

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2007年 07月 27日

オランダに帰る理由。

昔、身欠きニシンがよく我が家の食卓に上りました。干しにしんをにんにくとしょうがと醤油で味付けしたものと記憶しています。僕にとってニシンとは、にしんそばでも昆布巻きでもなく、この酒のツマミみたいなご飯のおかずのニシンでした。

にしんが、あじやいわしのように傷むのが早い魚であることは、日本の食卓に上るそれが干物だったり濃い味付けのしてあるもでであることからもうかがい知れます。今でこそ、さんまの刺身は日本各地で食べれるようになりましたが、保存と輸送が現在のように整備される以前は、本当に新鮮な青魚の刺身は水揚げされた地でのみ食べられるものだったことは想像に難くありません。もちろん、そんな事情から様々な保存方法と料理方法が編み出され、今ではそれが本来の存在理由を失い、ある種の名物として依然喜ばれているのも明らかです。ばってらや棒寿司は僕も大好きです。

e0017332_6562521.jpg前置きが長くなりました。比較の問題ではないことを考えなければ、今回のアムステルダム・フランクフルト・パリ旅行で食べた物の中で、一番美味かったのは、フランクフルトのソーセージでもビールでもなく、パリのチーズでもワインでもなく、間違いなくアムステルダムで食べた「にしん」です。あの日から、僕にとってのにしんは、「生で食べるもの」になってしまいました。それくらいの美味さだったんです。


e0017332_65645100.jpgハリング(haring)と呼ばれるこのにしん、春から初夏にかけてが最盛期で、恐らく今はその最も遅い季節なのではないでしょう。それでもなんとか間に合ったことに、本当に感謝しました。その初体験は、トルコのさばサンドを凌ぐ衝撃でした。生のにしん(若干の塩味は海の塩気か知らん)をパンに挟んで、たまねぎのみじん切りときゅうりのピクルスと一緒に食べる。脂の乗った旬のにしんだからできる技です。ぷりぷりねっとりした脂っこいにしんが、意外にパンに合う。たまねぎとピクルスの爽やかさが、にしんの脂を何度もリセットする。市場を一往復する間に僕は2個食べました。翌日も1個食べました。さらにアムステルダムを発つ日の朝は、パンなしバージョンも食べました。その日最初に口にした固体がにしんでした。

e0017332_6571084.jpg街を歩くと、ハリングの尻尾を持って上から吊るすようにして食いつく父とパンに挟んだハリングにかじりつく息子のポスターを何度も見かけました。インターネット上では、春の到来を祝う祭りのような、一種のイベントとして紹介してあります。新にしんを売る店も出るようです。確かに、その喜び、今では共有できる気がします。日本人の感覚では、あのハリングをたたきにしてご飯に載せたり、にんにく醤油やしょうが醤油で食べたりして楽しむこともできるでしょう。

オランダのご飯が美味しくないと言う人には、断固訴えていきたいと思います。少なくともにしんは最高に美味い。このハリングがあるならば、オランダで仕事を探そうかなあなどと、冗談で真剣に考えていたりもして。アムステルダムには世界的なフィルム・ラボもあることですしね。5年後にはこの季節のにしんを食べるためだけに、オランダで働いてる自分を想像して、それも悪くないなあなどと今では思うのです。
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by kantacantalavita | 2007-07-27 06:57 | 親愛なる日記 | Comments(2)
2007年 07月 27日

500のある風景(その9)

パリでもフランクフルトでも、イタリアのFIAT社製500(チンクエチェント)は見かけました。依然、ニューモデルは見ていません。でも、あれは、あるいは見てても気づかないかもしれませんね。

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by kantacantalavita | 2007-07-27 03:30 | 日々の写真 | Comments(0)
2007年 07月 27日

滞在許可証がないままイタリア国外に出ることについて(その1)

パリからボローニャに戻った昨日、家に入る前に近所の商店に入りました。安着祝いのビールを買うためです。友人宅からも近いこの店は、初めてではないにせよ、なじみの店というわけでもありません。店に入ると若い店員がひとこと。

「いらっしゃい、あ、ビールだね。」

どんな顔をしていたのでしょう、一言も発せずしてビールを買いに来たことを店員に悟らせた『KANTA CANTA LA VITA』です。

理由はともあれ、なんか、自分の街に帰ってきた気がします。

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滞在許可証の更新期間中は、定かではないにせよ、シェンゲン加盟国内の移動ができないという情報があって、厳密には更新期間中に、例えば僕ならイタリアから帰国する際も、直行便、あるいは加盟国以外の国々(アジアとかロシアとか)でトランジットしなければならないとも言われます。ただし実際にはほとんど無視されているとかで、事実、僕の帰国もフランクフルト乗り換えです。

にも書いたように僕は昨年の10月31日で滞在許可証が失効しているので、当然更新申請をしたわけです。あれから9ヶ月、未だに手元に許可証は届きません。書類に不備があったとか、そもそも却下されたとかではなく、滞りなく(というには長すぎる手続きを経て)申請を済ませ、後は発給待ち、という段階です。

ちょっと待ってください。9ヶ月間も滞在許可証の発行を待っているということは何を意味するのでしょう。それは、先の情報が正しいのであれば、「9ヶ月間イタリアから出られない」ということです。国境という概念が希薄になりつつあるヨーロッパで、そのメリットを享受できないどころか、イタリアに半ば拘束される。しかも、それは許可証発給のめどが立たないという点で、さらにいつまで続くかわからない。ある日どこかで、ぷちっと音がしました。ふざけるんじゃない。

交錯する情報、食い違う言い分。これは、もう、自ら体験するしかありません。幸か不幸か、もう留学期間は残り少ないのです。どこかで何かに引っかかった時は、「ああ、やっぱり違法なんだね」とでも言って諦めることにしよう。強制送還? 良いブログのネタじゃないか。ブラックリスト入り? 名前が載るならそれが何でもうれしいくらいさ。5年はイタリアに入れない? 6年経ったらまた来るよ。そう割り切って、ほとんどやけくその「不法渡航」は始まりました。ミラノのマルペンサ空港からアムステルダムのスキポール空港をまずは目指しました。

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【マルペンサ空港】

朝5時チェックイン開始ということもあり、空港に宿を取る。正確には、空港が宿。チェックインカウンターの前のベンチでの夜明かし。タフな貧乏旅行もこれが最後だよと、痛む尻をだましだましずらしずらし朝を待つ。

チェックイン時刻。遅々として解消されない発券待ちの行列。やたら細かい、機内持ち込みの荷物のサイズ確認。開いたり閉じたりが忙しいカウンター。散々待たされて、あと数人で僕の順番というところで、隣のカウンターが開き、僕の後ろに並ぶ人たちがなだれ込む。「お先にお待ちのお客様からどうぞ」、そんなものこの国には存在しない。一刻も早くこの国から出してくれ。声にならない叫びが聞えたか、ようやくカウンターに到着。パスポートとプリントアウトした予約番号をカウンターの若い兄ちゃんに渡す。イタリア語を話すことに安心したかのように微笑みを浮かべる兄ちゃん。予約番号をパタパタと打ち込み、予約を確認。パスポートの1ページ目をめくり閉じる。あの短時間で彼は何を見たのだろう。とにかく発券終了。ゲートへ向かう。

機内持ち込みの管理が厳しくなった昨今、たかが2時間のフライトに、危険を冒してまで持ち込むものなどなく、そもそも絶対必要なものなど何もない。寒さ対策のジャージと哀しいくらいに少ない貴重品。哀しいが楽勝である。金属探知の音もならない。関西国際空港からの出国ならば、審査があるのはこの後だったか前だったか、とにかくパスポート・コントロールがある。しかし、ここはマルペンサ空港2番ターミナル、目の前にはちょっとした飲食店と免税店。コントロールなし。どうやらイタリアからの出国はできそうだ。現にゲートは目の前だ。

搭乗。チケットとパスポートを空港職員に渡す。チラッと見る。搭乗者が僕本人であるかの確認をしているだけなのだろう。とにかく飛行機には乗った。さらばイタリア、また会える日まで(予定では8日後だよ)。
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by kantacantalavita | 2007-07-27 01:15 | 親愛なる日記 | Comments(0)
2007年 07月 26日

帰ってきました(ボローニャに)。

その昔、行商に出たフィレンツェのあきんどは、その帰途で山の上から遠くのサンタ・マリア・デル・フィオーレ大聖堂を見て初めて、フィレンツェに帰ってきたことを実感したそうです。僕は列車の中から、丘の上のサン・ルーカ礼拝堂を見て、ボローニャに帰ってきた気になりました。

そんなわけで、強制帰国にはならずに済みました。本当に良かった。
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by kantacantalavita | 2007-07-26 20:11 | 親愛なる日記 | Comments(0)
2007年 07月 15日

ラストスパート、あるいはようやく盛り上がってきた(勉強以外で)。

なかなか忙しい日々です『KANTA CANTA LA VITA』です。こんな書き出しもずいぶん久しぶりな気がします。

日本へ荷物を送りました。あの90キロはすべて、僕の脳に収まりきらない知恵なんだと思っています。船便なので、僕の知恵が水に濡れてカビに侵されたり、錆付いたりしないことを祈るばかりです。4回に分けて送った荷物ですが、毎回担当者が違って、それに伴い書類の書き方が違う。必要事項が違う。大事そうなスタンプをビニルの上から押したら消えてしまうと、僕なんかは考えちゃうんですけど、大丈夫なんでしょうか、イタリアでは。前に書いたレジのおばさんが、僕のことを「むっちゃエエ子 simpaticissimo」と呼び、とても親切にしてくれるのが救いです。

調子に乗ってバーゲンでジャケットを買ってしまいました。いやあ、イタリアのジャケットは格好良いねえ、などと言いつつレジに向かう途中で、"Made in Japan"のタグに気がつきました。日本製ということに、一度は心が折れそうになりましたが、何かの縁だろうし、第一、気に入っていたので購入に踏み切った(まさに踏み切った)次第です。思えば、イタリアでなかなか素敵なスニーカーにめぐり合えず、失意の中で訪れた6年前のロンドン。ふと立ち寄った店で、「さすがロンドン!」と言いながら即購入したスニーカーはイタリア製でした。僕のセンスなんて、そんなものです。

ODC以外の、とあるHPで記事を書くことになりましたが、かなり手こずっております。ふだんから「こういう」グダグダの文章しか書いていないツケが回ったようです。語彙不足と日本語の誤りは甚だしいにも程があります。

明日、この家を出ます。友人宅に滞在の後、しばらく旅行に出かける予定です。アムステルダム→フランクフルト→パリ、9日間の旅です。一応、外部コラムのための取材旅行と銘打ってはおりますが、その実、完全に私的な旅行です。6年前の、トルコもイギリスもギリシャもサルデーニャもほとんど怖いものなしで旅行した僕は、今はもういません。なんでこんなにも不安なのでしょう。お金がないからでしょうか? いえいえ、理由は明らかです。今は内緒にしておきますが、場合によっては、3,4日後には、日本からブログの更新が出来るかも知れません。それがヒントです。予定では、イタリアからの次の更新は、こちらの時間の7月25日夜には出来るかと思います。が、そうでない場合は・・・、どうしましょう。

とかなんとか言いながら、賢明な読者諸兄はお気づきでしょう。特集「滞在許可証更新のアレやコレ」が更新されていないことからもわかるように、最後の写真提出と指紋採取から2ヶ月、書類提出から6ヶ月、前許可証の期限が切れてから9ヶ月が過ぎようとしているにもかかわらず、依然、受領できておりません、イタリアの滞在許可証。ローマかボローニャか、その辺にはあるはずなんですけどね。こいつがないと、僕みたいな長期滞在者はヨーロッパの旅行が難しいらしいです。困ったものです。

そういう日々です。
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by kantacantalavita | 2007-07-15 09:19 | 親愛なる日記 | Comments(6)
2007年 07月 10日

シネマテークにしねまっていこ(第16回)

外部連載コラム『シネマテークにしねまっていこ』を更新しました。

コチラからどうぞ。
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by kantacantalavita | 2007-07-10 23:24 | 追加・更新・変更・リンク | Comments(0)
2007年 07月 09日

Il cinema ritrovato 2007(ボローニャ復元映画祭後記)

腑抜けている間もありません『KANTA CANTA LA VITA』です。

復元映画祭は、昨夜の『黄金狂時代』の野外上映でもって終了しました。チネテカの代表であるジャン・ルーカ・ファリネッリ氏の最後の言葉「また来年!」には感極まるものがありました。来年の今頃、僕はどこで何をしているのでしょうか。

去年の今頃は、映画祭期間中に友人が来て、家族が来て、竜巻のような日々だったのを覚えています。今年は、割と静かに集中できたと思います。その分、諸手を挙げての単なる「すごいすごい」の感動ではない、いまだ形にはなっていないけれども、「もやっとした塊」が自分の中に残ったような気がします。これを表現する言葉はもちろん今の僕は持ちませんが、まあこうして、日々を綴っていけば、ああ、あのときのあれがこれか、という実感がどこかで湧くかも知れません(湧かないかも知れません)。

毎日報告するつもりでいた「当日の記録」も、当然といえば当然なのですが、無理がありました。なんとか、今日になってすべて書き上げましたが、その日の「生」の感覚は失われてしまったのは残念です。さらに言えば、本当に単なる個人的メモでしかなく、報告になりえていません。俯瞰的なものは追々どこかで書こうと思います。

個人的なハイライトは、1907年特集のカラー編とニールセン特集とマタラッツォ特集、それにキューブリックの『博士の異常な愛情』の4k修復版でしょうか。日本が関わっているふたつのプログラムも刺激的でした。折に触れ、疑問に答えてくれる人が周りにいたことも良かったです。色んな人と話し、話さず、良い経験ができました。「目の当たり」にし、「肌身に感じる」ことは、これから何かの栄養になると思います。こぼしたことは多いですが、まあ良しとしましょう。

さて。

やるべきことは多く、やりたいことはさらに多いです。学ぶべきことは多く、知らないことはさらに多いのです。
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by kantacantalavita | 2007-07-09 02:39 | 親愛なる日記 | Comments(0)
2007年 07月 06日

Il cinema ritrovato 2007(ボローニャ復元映画祭点描その8)

【最終日】 2007年7月8日 (土曜日)

9:00- Asta Nielsen: il linguaggio dell’amore ~アスタ・ニールセン特集~
 ・"HAMLET"
  監督:Sven Gade/Heinz Schall
  製作:ドイツ 1920年
  35mm 2160m 105分(18fps) カラー ドイツ語インター・タイトル  英語字幕
【ひとこと】伴奏はAntonio Coppola。オリジナルは2367m。ハムレットが実は女だったという新解釈をした研究家がいると冒頭に字幕で説明があるが、真偽は不明。窓の外を眺めるハムレットとアーチ型のマスク。青調色と黄(あるいは赤、セピア)染色の併用がある部分があるんじゃないかと思うも、確かめようがない。最後の方にはそれに手着色も加わっていると思うも、カラー・フィルムでの復元ならば、可能性としてオリジナルの色は復元されていないのではないか。ニールセンは30代後半とは思えないほどに若々しい。

10:45- Cento anni fa: i film del 1907 ~100年前の映画 1907年の映画特集~
 ・"DÉBUTS D’UN PATINEUR"
  監督:Louis Gasnier
  出演:Max Linder
  製作:Pathé フランス 1907年 
  35mm 116m 6分(16sps) 白黒 
 ・"LES PÉRIPÉTIES D'UN AMANT"
  製作:Pathé フランス 1907年
  出演:Max Linder
  35mm 117m 6分30秒(16fps) 白黒
 ・"PITOU BONNE D'ENFANTS"
  製作:Pathé フランス 1907年
  出演:Max Linder
  35mm 120m 6分30秒(16fps) 白黒 
 ・"PARIS ÉLÉGANT: LE BOIS DE BOULOGNE"
  製作:Pathé フランス 1907年
  35mm 48m 3分(16fps) 白黒
 ・"LA MARSEILLAISE"
  製作:Pathé フランス 1907年
  35mm 65m 3分30秒(16fps)
 ・"LE THÉ CHEZ LA CONCIERGE"
  監督:Louis Feuillade
  製作:Gaumont フランス 1908年
 ・"LE RÉCIT DU COLONEL"
  製作:Gaumont フランス 1907年
  36mm 65m 3分30秒(16fps) 白黒
 ・"L'ARMÉE RUSSE EN MANCHOURIE"
  製作:Radios フランス 1907年
  35mm 72m 4分(16fps) 白黒
 ・"LA TERREUR EN RUSSIE"
  製作:Pathé フランス 1907年
  35mm 142m 8分(16fps) 白黒
 ・"LA TERRORISTE"
  製作:Gaumont フランス 1907年
  35mm 218m 11分(16fps) カラー
 ・"LES ÉVÉNEMENTS AU MAROC"
  製作:Pathé フランス 1907年
  35mm 187m 10分(16fps)
【ひとこと】①スケート・デビュー。②パテ作品でよく見かける女優。③は「電話する犬」と同じカフェ。④パリの眺め。⑤サウンド版。フランスの国家。えらく朗々と歌うなあと思ったらfpsを調節した。カタログの記載は誤りか、前プロと同じ16コマ/秒。⑥ELGEのマーク。建物を叩いたら壁が波打った。⑥インター・タイトルに記された1824-4は、左が作品番号、右が字幕番号と想像する。その他、テロ、暗殺関係、戦地モロッコの映像(断片というよりも切れ端の最初のタイトル)。Mariann Lewinskyの解説。最後に、何度も見た「花と女ふたり」も上映された。Alain Baentsのピアノ伴奏。

12:00- Ritrovati & Restaurati ~再発見と復元特集~
 ・"DER GEHEIME KURIER"
  監督:Gennaro Righelli
  製作:ドイツ 1928年
  35mm 1790m 65分(24fps) カラー フランス語インター・タイトル
【ひとこと】Marco Dalpaneの伴奏。モジューヒン出演。イタリア人の監督。トラベリングやアングルが面白い。デ・パルマ的な回転トラベリングも。色に関してメモを取っているがまったく読めず。ナイトレート・ポジからの復元。

14:45- Chapliniana ~チャップリン関連~
 ・"HIS TRYSTING PLACE"
  監督:Charles Chaplin
  製作:アメリカ 1914年
  35mm 33分 英語インター・タイトル
 ・"MABLE'S STRANGE PREDICAMENT"
  監督:Mack Sennett/Henry Lehrman
  製作:アメリカ 1914年
  35mm 17分(16fps) 英語インター・タイトル
【ひとこと】担当者が当日にイギリスから鞄に入れてもって来たという冗談が出るほどに、最近の復元プリント。Kieron Webb (BFI National Archive)の解説。Neil Brandの伴奏。

16:30- Il cinema più grande della vita ~シネマスコープ特集~
 ・"CHINA GATE"
  監督:Sam Fuller
  出演:Angie Dickinson/Gene Barry
  製作:アメリカ 1957年 
  35mm 97分 白黒 英語版
【ひとこと】今映画祭初のチネマ・アルレッキーノ、シネマスコープ。プリントの傷みは激しい。特に映写傷。過激な画面(明滅、短いモンタージュ)に目を閉じたらもうエンディングだったという有様。前の上映から入館して、字幕の投射がどうされているのかを見ることができた。完全自動で驚いた。何のプログラムだったのだろう。

18:15- Matarazzo. Romanzi popolari ~ラッファエッロ・マタラッツォ特集~
 ・"L'ANGELO BIANCO"
  監督:Raffaello Matarazzo
  出演:Amedeo Nazzari/Yvonne Sanson
  製作:イタリア 1955年
  35mm 100分 白黒 イタリア語版
【ひとこと】"I figli di nessuno"の続編。イヴォンヌ・サンソンの二役だがそれほど魅力もなく。白黒に戻ったことの経緯というか背景を知りたい。なぜここで、続編なのか。アイデアの枯渇?

22:00- Chapliniana ~チャップリン関連特集~
 ・"THE GOLD RUSH"
  監督:Charles Chaplin
  出演:Charles Chaplin/Mack Swain
  製作:アメリカ 1925年
  35mm 2400m 87分(24fps) 
【ひとこと】最終上映。恐ろしい人だかりだが、なんとか最前列に席を確保できた。目の前に総勢70名のオーケストラ。まだ復元は"Work in progress"なんだと。"Prima mondiale della partitura restaurata"とあるが、世界初は別として、楽曲の復元とはいったいなんなのか。Gian Luca Farinelliの「また来年!」という言葉に涙が出そうになる。
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by kantacantalavita | 2007-07-06 03:40 | 映画経験(filmについて) | Comments(0)
2007年 07月 06日

Il cinema ritrovato 2007(ボローニャ復元映画祭点描その6)

【6日目】 2007年7月5日 (木曜日)

9:00- Asta Nielsen: il linguaggio dell’amore ~アスタ・ニールセン特集~
 ・"ERDGEIST"
  監督:Leopold Jessner
  製作:ドイツ 1922年 
  35mm 1955m 94分(20fps) 白黒 オランダ語インター・タイトル
【ひとこと】Maud Nelissenの伴奏。オリジナルは2137m。おかっぱのニールセン。原作の『ルル』(著者Franz Wedekind)を読んでいないからわからないのだが、果たしてそういう記述があるのか、1929年のパブスト監督作品『パンドラの箱』のルルもおかっぱである。天井の高い室内、垂直方向を意識させるセット、床のジグザグ模様は表現主義(というか『カリガリ博士』)を思ってしまうが自分の中に必然性はない。いちいち自らの胸に手をやるニールセンと、毎度それに目を奪われる僕と、何かと鼻を鳴らす男性観客たち。今回の特集で見た中では最も大きいクローズアップ(超近接)が見られる。黒背景はしばしば用いられる。銃をたばこのように指に挟んで持つのはおかしいだろう。

10:45- Cento anni fa: i film del 1907 ~100年前 1907年の映画特集~
 ・"DANSES COSMOPOLITES"
  製作:Pathé フランス 1907年
  35mm 77m 4分(16fps) 着色(Pochoir)
 ・"LE PIED DE MOUTON"
  製作:Pathé フランス 1907年
  監督:Albert Capellani
  35mm 274m 15分(16fps) 着色(Pochoir)
 ・"KIRIKI, ACROBATES JAPONAIS"
  監督:Segundo de Chomón
  製作:Pathé フランス 1907年
  35mm 65m 3分30秒(16fps) 着色(pochoir)
 ・"AMOUR D'ESCLAVE"
  監督:Albert Capellani
  製作:Pathé フランス 1907年
  35mm 203m 11分(16fps) 着色(pochoir)
 ・"LA COURSE DES BELLES-MÈRES"
  製作:Pathé フランス 1907年
  35mm 78m 4分(16fps) 白黒
 ・"HALLUCINATIONS D’UN PIERROT"
  製作:Pathé フランス 1907年
  35mm 50m 3分(16fps) 白黒
 ・"LITTLE TICH"
  製作:Pathé フランス 1907年
  35mm 130m 7分(16fps) 白黒
 ・"LE SPECTRE ROUGE"
  監督:Segundo de Chomón
  製作:Pathé フランス 1907年
  35mm 170m 9分(16fps) カラー
 ・"EAU D’ARTIFICE"
  監督:Kenneth Anger
  製作:アメリカ 1953年
  16mm 141m 13分
【ひとこと】Mariann Lewinsky解説、Alain Baents伴奏。①この特集の一番最初がある意味もっと美しかった。これから踊らんとする男女の多重露光と複数の色。踊りも着色もモンタージュも華麗である。②セットなど動きのないところはPochoir、動きの激しいところは筆?の跡みたいなのが見えるから手着色と考えるが果たして。③「日本の気力」。床に横になって演技する人たちを垂直俯瞰で撮る特殊撮影。あまりの出来の良さにしばし我を忘れて喜ぶ。一人一人の動きが細かく個性があるのが良い。④紫という色。布の組体操。⑤おばさんの競走は今映画祭3回目だ。⑥『天井桟敷の人々』的ピエロが酔っ払ってる。石像がベールで踊るが、『トロイ没落』の足元にも及ばない、などと思ったりもして。⑦小男のご機嫌なダンス。大きすぎるブーツとつま先の長い靴のギャグ。⑧骸骨。セットが凝っていて、しかも着色してある。オリジナルは190m。2007年ボローニャのラボで復元、国立映画博物館協力。⑨ケネス・アンガーがこの特集に最後に出てくると、印象としては引き立て役でしかないように思えてしまう。数年前にビデオで見て、フィルムで見たいものだなあと思ったものだが、期待したほどの革命はない。

12:00- Ritrovati & Restaurati ~再発見と復元特集~
 ・"ERO E LEANDRO"
  製作:S.A. Ambrosio イタリア 1910年
  35mm 207m 12分(16fps) 染色調色 イタリア語インター・タイトル
 ・"LA MADRE E LA MORTE"
  製作:S.A. Ambrosio イタリア 1911年
  35mm 150m 8分(16fps) 染色 イタリア語インター・タイトル
 ・"WHERE’S MY HAT?"
  監督:Bud Duncan
  製作:アメリカ 192?年
  35mm 583m 25分30秒(20fps) 白黒 英語インター・タイトル
 ・"HER BIRTHDAY PRESENT"
  製作:アメリカ 1913年
  監督:Mack SennetあるいはHenry Pathé Lehrman
  35mm 106m 6分(16fps) 白黒 フランス語インター・タイトル
【ひとこと】伴奏はAlain Baents。①けばけばしい染色。オリジナルのプリントを用いないインタータイトルの再構築を「フラッシュ」と言うんだったか、要確認。波打ち際、女は無声で"Aspetta!"と言った。ボローニャのラボでの復元。②は死神がいきなりラップ・ディゾルヴで登場。子を抱いて消えるタイミングは完璧である。トロイ的(造語)に透ける女。氷柱と滝と逆光ショット。揺れる水面に息子の将来をラップ。最後のふたつの象徴的なショット(ナイフと花)。③ケツを打たれて平然としているところで一番笑った。④2006年にナイトレートの素材から復元。

14:50- Dossier Lubitsch ~ルビッチ関連企画~
【ひとこと】渡米前後(1922年~1923年)のルビッチを探る研究。"Das Weib des Pharao"のセットやエキストラの話、"Die Flame"の断片を用いた再構築、"Faust"のスクリーン・テスト。解説はStefan Droessler (Filmmuseum Muenchen)。演技チェックの割と長い映像が始まったら席を立つ人が増えたが、最後に「ブー」と「ピー」のオチがついたのを彼らは知らない。

16:15- Chapliniana ~チャップリン関連企画~
 ・"MARCELINE, THE WORLD-RENOWED CLOWN OF THE N.Y HIPPODROME"
  出演:Marcelin
  製作:The Wintrhop Moving Picture Co. アメリカ 1907年
【ひとこと】チャップリン研究の大家David Robinson(しぐさまでチャップリン的に見える)が、若きチャップリンに影響を与えたとされる"Marceline il clown"を解説。唯一残る断片は、1907年にアメリカ議会図書館に収められたペーパー・プリントで、50年代に16mm、ついで35mmにブローアップされたもの。プリントに関しては昨年のポルデノーネで既見。35mm版は145コマ(クレジット87コマ、実際の映像58コマ)を5回プリントして1本としている。黒画面を含めた全長は23m、1分18秒(16fps)。断片自体は4秒分しか残っていないのだが、こういう研究の重要性は日本でも見直されたら良いなあ。

17:00- Chapliniana "Chaplin senza baffi" ~ヒゲなしチャップリン~
 ・"THE MASQUERADER"
  監督:Charles Chaplin
  製作:Mack Sennett/Keystone Film Company アメリカ 1914年
  35mm 314m 15分(18fps) 染色フィルム 英語インター・タイトル
 ・"A WOMAN"
  監督:Charles Chaplin
  製作:Jess T. Robbins/Essanay Film Manufacturing Company 1915年 アメリカ
  35mm 25分 白黒 フランス語インター・タイトル
【ひとこと】Serge Bromberg (Lobster Films)の解説と伴奏。ひげを蓄えたGian Luca Farinelliが「唯一の共通点であるヒゲ」を取り上げてくれたことに触れる。女装のチャップリンは意外と美人である。

18:00- Matarazzo. Romanzi popolari ~ラッファエッロ・マタラッツォ特集~
 ・"TORMENTO"
  監督:Raffaello Matarazzo
  出演:Amedeo Nazzari/Yvonne Sanson
  製作:イタリア 1953年
【ひとこと】毎日マタラッツォ作品を1本観ていること、似たような人物設定、と語構造、そして何より同じ出演人ということもあって、実のところ、どれがどれだったかわからなくなっている。要整理。教訓のひとつは「領収書は大事」というかとか。身に染みる。
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by kantacantalavita | 2007-07-06 03:36 | 映画経験(filmについて) | Comments(0)
2007年 07月 06日

Il cinema ritrovato 2007(ボローニャ復元映画祭点描その7)

【7日目】 2007年7月6日 (金曜日)

9:00- Asta Nielsen: il linguaggio dell’amore ~アスタ・ニールセン特集~
 ・"LASTER DER MENSCHHEIT"
  監督:Rudolf Meinert
  製作:ドイツ 1926年
  35mm 1985m 87分(20fps) 白黒 ドイツ語インター・タイトル
【ひとこと】Maud Nelissenの伴奏。数年映画を離れていたニールセンの映画復帰作。45歳、太っててびっくりした。首の太さ、背中の広さ。電飾のラップ、影で描かれたバンド、ある朝のニールセンをチルト・ダウンで撮る(死んだような表情、パイプ)。ショットの等級を変えながら、銃と顔を繰り返す。一瞬、質素な格好(ほとんど襤褸)を着たニールセンのショットが入る場面があるが意図はわからず。禁断症状の出た男と割れた鏡。

10:45- Cento anni fa: i film del 1907 ~100年前 1907年の映画特集~
 ・"DRAME A SÉVILLE / CORRIDA"
  製作:Pathé フランス 1907年
  出演:Max Linder
  35mm 265m 15分(16fps) 白黒 仏独インター・タイトル
 ・"COCHON DANSEUR"
  製作:Pathé フランス 1907年
  35mm 100m 5分30秒(16fps) 白黒 
 ・"LA MAISON ENSORCELÉE"
  監督:Segundo de Chomón
  製作:Pathé フランス 1907年
   (Francia/1907) R.: . Prod.: Pathé. D.: 6’30’’
 ・"LA COURSE AUX POTIRONS"
  製作:Gaumont フランス 1907年
  35mm 134m 7分(16fps) 白黒
 ・"LE DOMESTIQUE SE VENGE"
  製作:Pathé フランス 1907年
  35mm 54m 3分(16fps) 白黒
 ・"LE PENDU"
  製作:Pathé フランス 1907年
  出演:Max Linder
  35mm 100m 5分30秒(16fps) 白黒
 ・"CATCHING A FOX"
  製作:ドイツ 1907年
  35mm 100m 5分30秒(16fps)
 ・"LE PETIT CHAPERON ROUGE"
  製作:Pathé フランス 1907年
  35mm 97m 5分(16fps) 白黒
 ・"L'HOMME AIMANTÉ"
  製作:Gaumont フランス 1907年
  監督:Romeo Bosetti
  35mm 150m 5分(16fps) 白黒
 ・"UNE FERME AUX AUTRUCHES"
  製作:Eclipse フランス 1907年
  35mm 67m 4分 白黒
【ひとこと】Mariann Lewinskyの解説。Neil Brandの伴奏。上映前にピアノの調律が行なわれる。グランドピアノの中を初めて見た貴重な映画外体験。調律士、数人のピアニストの確認作業がおもしろい。一個の鍵盤を鳴らすだけで、「ほらね?」というような瞬間には驚いたが、当然のことなのだろう。①オリジナルは253mだが上映版は155m。闘牛の場面が圧巻。②踊る豚の着ぐるみ。映像的にどうとかではなく、豚の細部が気持ち悪い(牙、目、鼻のしわ、べろ)。③お化け屋敷。透けた布と骸骨(ラップ)、コマ撮りの食卓の、本来動いていないはずの動作の細かさに拍手。④転がるかぼちゃ。もうちょっとヒネリがほしい。ハイライトは頑ななロバ。⑤歯医者と獣医の看板を取り替える。André Deed。⑥28mmポジからの復元。粗い画。首吊りをすぐに助けない。自転車の空気入れで復活。⑦キツネ狩り、犬に食わせたり、死んでるものを動かして喜ぶ人たち。⑧赤頭巾。実際の狼(?)を起用。赤頭巾は食べられてFin。救いはないが前作⑦のカウンターパンチとも言える。⑨磁石の鎖帷子。ゴーモン作品のELGEマークはパテのニワトリに次いでよく見かける。⑩ダチョウ。

12:00- Ritrovati & Restaurati ~再発見と復元特集~
 ・"O MAGOS TIS ATHINAS"
  監督:Achilleas Madras
  製作:ギリシャ 1922年~1931年
  35mm 48分 カラー(染色 一部手着色) ギリシャ語インター・タイトル
【ひとこと】60年代に発見された素材。1922年に撮影開始された未完の作品の素材を一部用いて、1931年に別作品として完成する。ギリシャからは初のCinema Ritrovato参加作品。制作過程の混乱のせいか、インター・タイトルはギリシャ語を基本とし、その下に英語、あるいはフランス語のものがつけられる。群集と神殿の取ってつけたような合成。実際の神殿がそのままセットになるギリシャ、それを生かすためのロング・ショットが良い。染色には恐らく褪色と思えるものがしばしば。画面左が青いのに、中央より右はセピア。唐突な手着色、黄色の髪の毛、黄緑の服、赤い布。Marco Dalpaneの伴奏。

14:45- Omaggio a Michael Curtiz ~マイケル・カーティス特集~
 ・"NOAH'S ARK"
  監督:Michael Curtiz
  製作:アメリカ 1928年 
  35mm 2881m 105分(24fps) 白黒 英語字幕
【ひとこと】サウンド版。サウンドとトーキーが合体した不思議な作品。列車事故や洪水シーンのセットと合成はとんでもない。現代劇が史劇に替わるという語り方も嫌いではない。時代間の飛び方におもしろモンタージュもある。

16:30- Asta Nielsen: il linguaggio dell’amore ~アスタ・ニールセン特集~
 ・"DER ABSTURZ"
  監督:Ludwig Wolf
  製作:ドイツ 1922年
  35mm 1928m 84分(20fps) 白黒
【ひとこと】Maud Nelissenの伴奏。画面サイズの誤り、インター・タイトルの枠組みが切れていて気づく。たまたま映写室の真下の席に座っていて、誤りに気づいた直後に指示が聞える。何かを「前に移動させる」らしい。しばし、マスケリーノやレンズの調節(上映は続いている)があったあとで、適正なものになる。 フィルム表面が溶解した劣化が後半続くが、ニールセンの画が失われていない奇跡を喜び、生き残ったプリントに感謝する。男殺害の知らせを受けたニールセンの演技のモンタージュに違和感があるのは、本来長廻しで撮った彼女の演技を、「切って貼った」んじゃないかという印象。鏡に映る自分を見つめるショット(カメラ目線)の迫力。

18:15- Matarazzo. Romanzi popolari ~ラッファエッロ・マタラッツォ特集~
 ・"TORNA!"
  監督:Raffaello Matarazzo
  製作:イタリア 1953年 イタリア語版
  出演:Amedeo Nazzari/Yvonne Sanson
【ひとこと】時代はカラーである。Ferraniacolor。灰色や水色っぽい服に象徴される「青く冷たい画面」は、イヴォンヌ・サンソンの赤い唇のためにある。こういう思い込みは良くないのだが、重い内容なのに画面を駆け巡るワイプ(上下左右、タクシーワイプ再び)はどうしてもコメディ的である。教訓は、「手紙には日付を書け」、である。

22:00- Ritrovati & Restaurati ~再発見と復元特集~
 ・"DR. STRANGELOVE OR: HOW I LEARNED TO STOP WORRYING AND LOVE THE BOMB"
  監督:Stanley Kubrick
  製作:アメリカ 1964年 英語版
  35mm 96分 白黒
【ひとこと】マッジョーレ広場での野外上映。Grover Crisp (Sony Columbia)の解説。日本では(たぶん)まだされたことのない4kでのデジタル復元版。冒頭の雲、会議室の奥にあるビュッフェに差し込む外光、戦闘シーン。フィルムとの区別がつけられないのは言うまでもない。野外上映でこのクオリティだぞ。失われたオリジナル・プリントと並べて上映したい叶わぬ欲求。飛行機の合成は完璧である。
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by kantacantalavita | 2007-07-06 03:36 | 映画経験(filmについて) | Comments(0)