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KANTA CANTA LA VITA

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2005年 10月 12日

10月12日

・『山猫(完全復元版)』
(監督:ルキーノ・ヴィスコンティ、IL GATTOPARDO、1963年、186分)

千里セルシーシアターにて。

10月12日_e0017332_18583837.jpgこれはいったい何回目の鑑賞だったのでしょう。4回か5回くらい?いずれにせよ今回が一番感動しましたし、何度も泣きそうになったり瞬きも忘れて夢中になったのは今回が初めてです。バート・ランカスターが素晴らしい。後半、少しずつではあるにしろ確実に若者たちに主役の座を奪われる(否、譲る)という物語の輝きは、監督の演出もさることながらやはり彼の演技によるところが大きいと思います。冒頭では絶対的であった彼の存在がしだいに過去のものとなってゆく様は、監督の手腕とあいまって、完璧でした。衰退と隆盛というサリーナ公爵とタンクレディの交代劇が明確だからこそ、あのダンスパーティーのシーンは目映い光を放つのでしょう。

ジュリアーノ・ジェンマ扮するガリヴァルディ軍の隊長が公爵家を訪れるシーンで演出が急にコミカルになるのが興味深かったです。クラウディア・カルディナーレが最初にスクリーンに現れるシーンの噛んだ下唇、ダンスシーンで思わず伯父に嫉妬するアラン・ドロンの膨らむ小鼻。ジュゼッペ・ロトゥンノは良いとこ撮りますし、それをこぼさずCMに使う宣伝班には平身低頭、頭が下がります。

完全復元版のオリジナルはきっときれいだったはずですが、ジェネレーションを経ているのでしょうか。ピントが甘かったり、経年での褪色とは思えない変な色のショットがあったりしました。さらに、東京での初公開から丸1年経って千里中央に届いたことからもわかるように、各地の映画館で上映されたのでしょう、目立つ映写機傷がしばしば現れました。それでも良いものは良い。優れた作品の魅力は鑑賞環境やフィルムの状態に影響されない確固たるものであることを思い知らされました。もう1回言っとこ。「良いものは良い。」

『山猫』完全復元版公式ホームページ

ときに、千里セルシーシアターはなかなか隅に置けない映画館です。こういう評判は昔からあったのですが、今日確信いたしました。今週末からは、経営破綻で一時閉館に追い込まれた十三第七芸術劇場に代わり、6時間の大作『輝ける青春 LA MEGLIO GIOVENTU'(03)』も公開されます。アンゲロプロスの『エレニの旅(04)』や『コーヒー&シガレッツ COFFEE & CIGARETTES(03)』もやるようですし、急がなければこの映画館で十分楽しい思いができそうです。上映作品や曜日によっては中年女性の溜まり場と化すことも含めて要注意。

千里セルシーシアター公式ホームページ

by kantacantalavita | 2005-10-12 18:39 | 映画経験(filmについて)


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