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KANTA CANTA LA VITA

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2006年 10月 17日

Le giornate del cinema muto 2006 (ポルデノーネ無声映画祭点描その1)

25回を数える当映画祭の公式カタログにあるイントロダクションの、さらに最初の文章には以下のようにあります。

「25年前、10人にも満たない仲間たちが集い、マックス・ランデとクレティネッティをとりあげた小さな映画祭(今考えてもそのプログラムには目を見張るものがあります)をある週末に企画しました。もちろん彼らは、野心を抱いていたわけでもなく、まして彼らの生み出したものが世界的規模の唯一無二のイベントとして、2006年に25回目の記念日を迎えることになろうとは考えてもみませんでした。」


さらに序文は続けます。

「最初の年の来場者は8人でした。2年目には『一気に増え』てその数は50人ほどに上りました。そして昨年2005年には本映画祭に世界中から800人を超す人々が集い、さらに今年2006年には、サチーレはより多くの来客で賑わうことでしょう。」


Le giornate del cinema muto 2006 (ポルデノーネ無声映画祭点描その1)_e0017332_7585566.jpg以上がイントロダクションの最初の段落ですが、非常に感動的です。1年目の観客が8人というのがすごく良い。2つ目の引用からも察することができるように、「ポルデノーネ無声映画祭」として世界に知られるこの映画祭は、じつは8年前からその主会場を近隣の町サチーレに移しています。劇場の新設に伴い、来年以降は再びポルデノーネがメイン会場になるとのことですが、会場移転の詳しい経緯はここでは省略します。ポルデノーネの劇場の老朽化が理由だったはずです。

サチーレは、町を囲むように流れる川が印象的な町です。川自体はとても小さなもので、浅い川底には水草が揺れ、ちらほら魚が泳ぎ、川岸にはアヒルや鴨、鶏の親子我が物顔でくつろぎ、穏やかな午後にはカヌーで行く人々の姿も見かけます。公園があり、教会があり、散歩道があり、スーパーがあり商店があり、ちょっとした服屋がありちょっとした本屋がある、普段の慎ましい生活が容易に想像できます。ところがそんな静かな町を一変させてしまうのが、この無声映画祭です。期間中、町は世界中から集まった映画ファンであふれかえります。文字どおりあふれかえるため、来客たちは近郊の町に分散して宿を取り、あるいは期間中都市間を結ぶ専用のバスを利用し、あるいは自転車や自動車といった自力で会場と宿を往復する日々を送ります。

後述しますが、映画祭は複数の特集上映を主として、研究会、討論会、展示、映画関連の書籍とグッズ・映像ソフトの販売などから成ります。25周年を記念したイベントでは食事と飲み物が振舞われました。登録やインフォメーションがある本部施設にはインターネット・ポイントも設置され、無線LANの使用も可能です。上映はチケット制ですが、僕たちは登録式のフリーパスを30ユーロで購入しました。このパスで、オープニングとクロージング以外の全てのプログラムを見ることができます。開会式、および閉会式とその際の上映はそれぞれ14ユーロでした。パスが30ユーロで、充実したカタログが料金に含まれているわけですから、毎回生伴奏付であることを考えるまでもなく格安としか言いようがありません。

6日に現地入りし、簡単に下調べをして、「臨戦態勢」を整えます。

by kantacantalavita | 2006-10-17 20:52 | 映画とは何か(cinemaについて)


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