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KANTA CANTA LA VITA

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2006年 10月 22日

Le giornate del cinema muto 2006 (ポルデノーネ無声映画祭点描その5)

Le giornate del cinema muto 2006 (ポルデノーネ無声映画祭点描その5)_e0017332_5171226.jpg2006/10/07(初日)

14:30- イタリア特集
 ・『カビリア』 "Cabiria"
  監督:Giovanni Pastrone, イタリア, 1914年
  35mm, 3308m., 180' (16 fps), did: inglese
【ひとこと】劣化状態(すなわち出所)の違うフィルムによって修復されたのがよくわかる。ピンボケ(映写ミス)に舌打ちをする人、さすがはマニアの中のマニアの集うところ。ゆっくりほんの少しだけ動くカメラは華麗とは言い難いが味わい深い。モロク神殿におけるいけにえモンタージュが間違っているのに気づくが、イタリア版はどうだったか。ハンニバルのアルプス越えのシーンは相変わらずすごい。フォトグラム内モンタージュは正式名称はあるのかしら。途中2度休憩が入る。酒屋の窓から上半分だけ見えるマチステは完璧なフレーム内フレーミング。アフリカのマチステのシーンで再びフォトグラム内モンタージュ(切り貼り)。カルタゴ、ソフォニズバの夢の描写、大きな手、長い爪。イタリア版を観た時はそれほど気にならなかったが、英語字幕のなんと多いこと、しかもチラつくことにうんざり。

17:15- 映画の中の魔術特集
【ひとこと】全プログラムに言及は個人の能力として不可能なのでかいつまむ。配布のプログラムが正しければ、21本の短編を上映。ボローニャの修復映画祭で観たものも多数。逆回し、天地反転、コマ撮り、人物が消え現れる、などは常套手段。Gaston Velleの"Japonaiseries"は、積み木に女の子が映り狂喜。日本を描いたものは内容はともかく着色がきれい。メリエスの"Le portrait spirite"は35mm黒白ポジのペーパープリントからの修復、ややぼやけた印象のある映像。差し出された虫を食べる2匹のカメレオンがおもしろい。着色であったはずの作品を黒白で修復するということ。2度繰り返された1つの作品、違う演奏の伴奏者に拍手。プログラムに関係ないボクシングの映像。最初で最後のチネマ・ルッフォCinema Ruffo、最前列に座る。2mくらいのところにあるスクリーン。

18:00- フィルム・フェア開幕
【ひとこと】期間中、このフィルム・フェア(実質書籍とDVDとポスターの市、どこかでフィルムの売買がされてるのかしら)で購入したものをここに一挙に記す。書籍:"Un uomo a metà - Dal soggetto al film", "Al cinematografo", "50 ans d'Archives du Film", "Cinema italiano 1945-1985: restauri e preservazioni", DVD:"The Lost World of Friese-Greene"

20:30- 開幕イベント
【ひとこと】売り切れ間際のチケットの購入に入場を断念する。書籍市を覗いて、一時ホテルに退却し、次の上映のために早めに会場(ザンカナーロ)に到着すると、入り口脇のモニターで上映室内部(スクリーン)を生放送。思いがけず、シリー・シンフォニーズ特集の"The Skelton Dance"を一部観る。完全に面白いではないか!!

22:30- イタリア特集
 ・"L'odissea"
  監督:Francesco Bertolini, イタリア, 1911年
  36mm, 784m., 43' (16 fps), did: italiano
【ひとこと】上映前、ボローニャから(僕らと同様)はるばるやって来たルーカ(ラボ見学を取り付けてくれた奇跡の人)が、ボローニャのフィルム・アーカイブの担当者アンドレア・メネゲッリを紹介してくれた。ラボのダヴィデ・ポッツィよりは幾分話しやすい。アーカイヴ見学を例によって口約束で取り付ける。このことが割りに印象的で、その後の上映はやや不鮮明。メモにも力がない。始まってすぐの"DIECI ANNI DOPO(10年後)"という字幕に笑いが起こる、欠損してるのかと思うくらいの唐突さ。海の怪物セイレーンの造形。一つ目巨人サイクロプスのトリック。スクリーン上で前後する(ように見える)映像は映写プリントの歪みか、はたまた修復段階でのフィルム密着の甘さか。こういうことを聞ける人がこの瞬間、身近にいないことを嘆く。

おやすみサイレント
 ・"La fée printemps"
  監督:不明, フランス, 1906年
  35mm, 78m., 4' (18 fps), no did.
【ひとこと】「おやすみサイレント」での上映作品は全てボローニャの修復映画祭で既観。子のない老夫婦、雪の中の老婆、冬から春へ、花束と双子。ラップ・ディゾルヴで雪景色が春の森に。こういうの好き。

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これ以後、当報告で作品を紹介する場合は、
 ・『邦題(あれば)』 "オリジナルタイトル"
  監督:‐, 製作国, 製作年
  上映プリントのフォーマット, フィルムの長さ, 上映時間 (コマ/秒), 字幕の言語

の順にします。(たぶん)

fpsの数値がこうも違うとずいぶん面白いです。fpsは昨年まで在籍していた(そして帰国後もするであろう)映画保存協会Film Preservation Societyの略称でもあります。一部から法人化の情報が届きました。祝。

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こんな具合に一週間を記すことは、果たして映画祭が終わって一週間たった今から可能なのでしょうか。

by kantacantalavita | 2006-10-22 03:39 | 映画経験(filmについて)


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