2007年 03月 30日
今回のコラムの最後にも書いておりますが、全3回でお届けする予定でした『DVDに学ぶ』は「僕の文章をまとめる力の無さ」と、「勝手な興奮を抑える力の無さ」、つまりはいずれの場合もある種の「自制心の欠如」からもうしばらく続きます。「『DVDに学ぶ』 後編 (その1)」ってなんですか。自分でも恥かしいです。しかも今回のは恐らく分量としても最長で、読むのがえらくしんどいです。書いた本人が言うんですから間違いないはずです。かたっくるしい話では無いはずですし、知識をひけらかすような文体にもならないように注意はしていますが、それでもやっぱり何より「長い」です。精進します。 あと、こんなことを書いてしまって大丈夫かとも思うのですが、裏話ですからまあ良しとして、と言うのは、あのコラム『DVDに学ぶ』の中で僕は決定的なウソをついています。映画関連の情報についてのウソではありませんし、あるいは自覚していない間違いがないなんてことも言い切れないのですが、そういうことは自分で気づいた時や読者の皆さんに指摘された時に直せばいいですし、そういうのではなくて、つまりあのコラムを書くに至った経緯・背景について若干の「創作」があるということです。僕がよく言うのは、「どんな事実も文字にした時点でフィクションになる」ということでして、その意味で僕が書いてるコラムは創作や引用を多く盛り込んだドキュメンタリー風、あるいはルポタージュ風な第1回に象徴されるように、事実に基づいた「創作」であることが多く、ところが今回のウソ(創作)はそれ自体が笑い話じゃないかというような類の、情けない話を隠したために出来上がったのです。 「DVDに学ぶ 中編」を見て見ましょう。DVDセット「ポンペイ最後の日」のジャケットの下から続く文章の初めにはこうあります。 DVDを手に取ると(中略)、表面上部の「セルジョ・レオーネの最初の作品(IL PRIMO FILM DI SERGIO LEONE)」という言葉が何よりもまず目に入り驚きました。 これは完全にウソです。創作ではありますが、この場合は「ウソである」と言ったほうが正直です。どういうことか?僕の目にまず飛び込んだのは「レオーネの作品」とか、コラムで続けているようなリマスタリングに関する文字列でもなかったのです。では一体、何が僕の注意を引いたのか。・・・・・・主演女優の美貌です。美貌といえば語弊があります。とにかく「かわいい」。セルジョ・レオーネのコーナーに、未見の作品があったことなどすっかり忘れて、しばし彼女に見惚れた後、この女優が誰なのか、パッケージに他にも彼女の写真が使われていないかを詳査したその後でようやく、「あれ?レオーネの作品って書いてあるなあ」と女優の可愛らしさの前では幾分トーン・ダウンして思ったわけです。もちろん自己弁護をすれば、「あれ?レオーネの作品にこんなのあったか?ん?オリジナル・ネガ?え?特典映像で古典を丸々1本収録?しかも完全版?完全版ってなんだよ?」という具合に、ひとたび女優から注意が離れるや、いっぱしの映画好きに戻って色々考えていたのも事実で、そこから今回の特集は生まれたわけです。 さて、本当の意味で特集の生みの親とも言えるこの女優クリスティーヌ・カウフマンChristine Kauffman(IMDb)について少し。ボナール作品の『ポンペイ最後の日』は、一部の批評ではその女性出演陣(クリスティーヌ・カウフマン、バーバラ・キャロルBarbara Carroll、アンヌ・マリー・ボーマンAnne-Marie Baumann)の美しさが取り上げられますが、確かに三者三様の美しさがあって、その中ではクリスティーヌは最年少で、インターネット・ムーヴィー・データベースを見てもわかるように、1945年生まれの彼女は1959年公開のこの作品の撮影に参加した当時はまだ13歳か14歳だったことにまず驚かされます。中学生には見えません。とにかくその若させいもあってか、個人的な印象としては作中、ほとんど演技をしているようには見えず、こと演技に関しては他のキャロル、ボーマンの次点に甘んじています。ところが映画とは面白いもので、この3人の中ではクリスティーヌのキャリアがもっとも長く、比例して出演作品も多い。あるいはクリスティーヌはこの後歳を重ねるごとに演技に磨きをかけていったのでしょうか、後年の作品を観ていないためわかりません(『バグダット・カフェ』は見たけど当時知らなかったんです)。 クリスティーヌの写真がパッケージに使われていなかったとしても、『DVDに学ぶ』は書いていたでしょうけれど、それでもやや凡庸な作品の鑑賞を楽しませてくれたという意味で、記憶に残る女優になりました。
by kantacantalavita
| 2007-03-30 19:08
| 映画とは何か(cinemaについて)
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イタリアのお宝発掘集団『大阪ドーナッツクラブ』。人呼んでODC。シネマテークについてのコラムを担当してました。 大阪ドーナッツクラブ公式ブログ(代表によるブログ) 『Kanta Canta La Vita』が所属する上記「大阪ドーナッツクラブ」の代表で、FM802DJポンデ雅夫のブログ。 かのうとおっさんの「ああ密談」 大阪ドーナッツクラブメンバー有北クルーラーのもうひとつの顔。 映画保存協会 日本の映画保存のある部分は、この協会が支えています。 アトリエ・マニューク 映画と映画保存とその周辺(例えばビールとか俳句とか)について書くならば僕はこうしたい、それがこのHPにあります。 赤海老ログ 本職は歌手なのに、僕にとっての彼ら二人はワインの先生です。Colli Bolognesiを共有(共憂)をしてます。 C'è profumo 日本人音楽家の多いボローニャにあって、飲み会でしか会ったことがない友人yukaちゃんのHP。ピアニスト。 ホームムービーの日 NEWS 今こそ8mm。景色を映しただけで映画になる国、イタリアに8mmカメラを持って行きます。 The Internet Movie Database 誰が呼んだかIMDb、えらく重宝します。フォーマット検索とかは最近かなり気に入ってます。 all cinema ONLINE 映画検索に重宝してます。日本語表記はあてにならない場合もあるので注意が必要です。 チネテカ・ボローニャ Cineteca Bologna。ボローニャのシネマテークです。当ブログのカテゴリー『Cineteca Bologna』はこのシネマテークの当日の上映プログラム(概ね日本語)です。 ボローニャの映画館情報(2torri.itより) チネテカ以外の映画館情報。ボローニャにはこんなにたくさん映画館があるんです。 ボローニャの図書館検索 ボローニャには相当数の図書館がありますので、映画という19世紀以降の芸術を研究する僕のような学生が探す本は大抵見つかるはずです。 イタリア国立映画博物館 Museo nazionale del cinema。トリノ。2006年8月に聖地巡礼的に訪れた際には、その建物(モーレ・アントネッリアーナ)の頂上でエレベーターが作動しなくなり、急遽ヘルメットをかぶって徒歩で地上に降りるという映画的に稀有な体験をしました。 チネテカ・イタリアーナ Cineteca italiana。ミラノのシネマテーク。「見せるための保存」を目指しているとのことで、近年新しい上映室が増設されたようです。その名に「イタリア」を冠していることからもわかるようにその歴史はボローニャのそれよりずっと古い。 チネテカ・デル・フリウリ Cineteca del Friuli。北イタリアのフリウリ・ヴェネツィア・ジュリア州ウーディネ県ジェモナにあるシネマテーク。このブログでも報告したポルデノーネ無声映画祭はこのシネマテークが中心になっています。イタリア国内に5つあるFIAF加盟団体の中では最もマイナーなイメージがあるが、実は違いそう。行ってみたい施設のひとつ。 チネテカ・ナツィオナーレ Cineteca nazionale。ローマにある映画実験センター。国立の映画学校で、そのシネマテークはローマのど真ん中トレヴィの泉近くにあるとか。ミラノ、ボローニャ、ローマ間では上映用のフィルムのやり取りが多いように感じてます。 東京国立近代美術館フィルムセンター 日本におけるシネマテークとは何か?考えてみます。常設展や特別展は、何時間でも過ごせます。 シネマテーク・フランセーズ Cinémathèque française。説明無用(?)、世界中のシネフィルの聖地シネマテーク・フランセーズ。2005年、多くの映画人が通ったシャイヨー宮からベルシーに移転し新しい建物になりました。写真を見た限りですが、ものっすごくきれいみたいです。住みたい。 ドイツ映画博物館 DEUTSCHES FILMMUSEUM。フランクフルトにある映画の博物館(そのまま)。ドイツ語も勉強しますか。ドイツと言えばムルナウ財団は、ボローニャのシネマテークの上映でもしばしばその名前を目にします。 オランダ映画博物館 FILMMUSEUM。アムステルダムにある映画博物館。上記ドイツ映画博物館と一緒に訪ねてみようかと計画中。学生でも6.50ユーロ、会員でも4.50ユーロとはちと高いか。(英語あり) Antonio Pignottiコレクション 2006年の「ホームムービーの日(in Italia)」で映写機などの展示をしていたコレクターの方です。いつの間にかリンクしてくれていたので、晴れて初めてイタリアのHPと相互リンクになりました。(イタリア語) Planet World 大阪梅田のシネマテーク。大阪にプラネットありと謳われた「生きた」伝説。 Planetary Film Archives 上記プラネットのフィルムアーカイブです。資料整理のお手伝いをしました。 internet bookshop ITALIA イタリアの本が買えます。バカンスシーズンやその前後を除けばかなり信頼度は高いです。送料も高いですけど。 日本の古本屋 現実世界での古本屋めぐりも好きですが、電脳世界のほうが欲しい本がみつかったりします。 comfm.com イタリアのラジオがネットで聞けます。生のイタリア語を欲してる方にはお薦めです。 RADIO MARGHERITA イタリアのポップミュージックを新旧問わずに流しまくる秀逸なHP。ホームの下のところにある「Ascolta Radio Margherita (マイクの絵)」をクリックすると、Windows Media Playerで聴くことができます。 NHKラジオイタリア語版 その日のニュース約5分と曜日ごとに決められたテーマ約10分をイタリア語で聞くことができます。他の言語もあり。イタリアのラジオに比べ、音声が安定しているように思えます。 Consorzio Vini Colli Bolognesi ワインは全く無知に等しいですが、なぜかしら「おらが村主義」は大切にしていたいのです。日本で一番「ボローニャの丘」について詳しい人になりたいです。「ボローニャの丘」ワイン協会のHP(伊語or英語)。 大相撲 がんばれ力士。 インターネットでモンドリアン こういうのも好きです。 氷温熟成 Bravo! KANTA このビールを評したずっと年下の女の子曰く、「苦味の奥に甘さがある」。ううむ。僕のことを言ってるのでしょうか。 Google日本 何かと便利。 Wikipedia Japan 何かと便利。 以前の記事
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