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KANTA CANTA LA VITA

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2007年 03月 30日

外部連載コラム裏話その6

外部連載コラム裏話その6_e0017332_19252763.jpg今回のコラムの最後にも書いておりますが、全3回でお届けする予定でした『DVDに学ぶ』は「僕の文章をまとめる力の無さ」と、「勝手な興奮を抑える力の無さ」、つまりはいずれの場合もある種の「自制心の欠如」からもうしばらく続きます。「『DVDに学ぶ』 後編 (その1)」ってなんですか。自分でも恥かしいです。しかも今回のは恐らく分量としても最長で、読むのがえらくしんどいです。書いた本人が言うんですから間違いないはずです。かたっくるしい話では無いはずですし、知識をひけらかすような文体にもならないように注意はしていますが、それでもやっぱり何より「長い」です。精進します。

あと、こんなことを書いてしまって大丈夫かとも思うのですが、裏話ですからまあ良しとして、と言うのは、あのコラム『DVDに学ぶ』の中で僕は決定的なウソをついています。映画関連の情報についてのウソではありませんし、あるいは自覚していない間違いがないなんてことも言い切れないのですが、そういうことは自分で気づいた時や読者の皆さんに指摘された時に直せばいいですし、そういうのではなくて、つまりあのコラムを書くに至った経緯・背景について若干の「創作」があるということです。僕がよく言うのは、「どんな事実も文字にした時点でフィクションになる」ということでして、その意味で僕が書いてるコラムは創作や引用を多く盛り込んだドキュメンタリー風、あるいはルポタージュ風な第1回に象徴されるように、事実に基づいた「創作」であることが多く、ところが今回のウソ(創作)はそれ自体が笑い話じゃないかというような類の、情けない話を隠したために出来上がったのです。

「DVDに学ぶ 中編」を見て見ましょう。DVDセット「ポンペイ最後の日」のジャケットの下から続く文章の初めにはこうあります。

DVDを手に取ると(中略)、表面上部の「セルジョ・レオーネの最初の作品(IL PRIMO FILM DI SERGIO LEONE)」という言葉が何よりもまず目に入り驚きました。


外部連載コラム裏話その6_e0017332_20411922.jpgこれは完全にウソです。創作ではありますが、この場合は「ウソである」と言ったほうが正直です。どういうことか?僕の目にまず飛び込んだのは「レオーネの作品」とか、コラムで続けているようなリマスタリングに関する文字列でもなかったのです。では一体、何が僕の注意を引いたのか。・・・・・・主演女優の美貌です。美貌といえば語弊があります。とにかく「かわいい」。セルジョ・レオーネのコーナーに、未見の作品があったことなどすっかり忘れて、しばし彼女に見惚れた後、この女優が誰なのか、パッケージに他にも彼女の写真が使われていないかを詳査したその後でようやく、「あれ?レオーネの作品って書いてあるなあ」と女優の可愛らしさの前では幾分トーン・ダウンして思ったわけです。もちろん自己弁護をすれば、「あれ?レオーネの作品にこんなのあったか?ん?オリジナル・ネガ?え?特典映像で古典を丸々1本収録?しかも完全版?完全版ってなんだよ?」という具合に、ひとたび女優から注意が離れるや、いっぱしの映画好きに戻って色々考えていたのも事実で、そこから今回の特集は生まれたわけです。

外部連載コラム裏話その6_e0017332_20422787.jpgさて、本当の意味で特集の生みの親とも言えるこの女優クリスティーヌ・カウフマンChristine Kauffman(IMDb)について少し。ボナール作品の『ポンペイ最後の日』は、一部の批評ではその女性出演陣(クリスティーヌ・カウフマン、バーバラ・キャロルBarbara Carroll、アンヌ・マリー・ボーマンAnne-Marie Baumann)の美しさが取り上げられますが、確かに三者三様の美しさがあって、その中ではクリスティーヌは最年少で、インターネット・ムーヴィー・データベースを見てもわかるように、1945年生まれの彼女は1959年公開のこの作品の撮影に参加した当時はまだ13歳か14歳だったことにまず驚かされます。中学生には見えません。とにかくその若させいもあってか、個人的な印象としては作中、ほとんど演技をしているようには見えず、こと演技に関しては他のキャロル、ボーマンの次点に甘んじています。ところが映画とは面白いもので、この3人の中ではクリスティーヌのキャリアがもっとも長く、比例して出演作品も多い。あるいはクリスティーヌはこの後歳を重ねるごとに演技に磨きをかけていったのでしょうか、後年の作品を観ていないためわかりません(『バグダット・カフェ』は見たけど当時知らなかったんです)。

クリスティーヌの写真がパッケージに使われていなかったとしても、『DVDに学ぶ』は書いていたでしょうけれど、それでもやや凡庸な作品の鑑賞を楽しませてくれたという意味で、記憶に残る女優になりました。





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by kantacantalavita | 2007-03-30 19:08 | 映画とは何か(cinemaについて)


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