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KANTA CANTA LA VITA

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2007年 04月 07日

パンと恋とコメンチーニに宛てた短い手紙。

ルイージ・コメンチーニが亡くなりましたね、90歳、また大御所が去りました。明日土曜日、ローマの「映画の家」に献花台が設けられ、カヴール広場にある教会でお葬式らしいです、なんで、この瞬間ローマにいないんでしょう、『KANTA CANTA LA VITA』です。明日締め切りのコラムやちょっとした文章をうっちゃって、今これを記します。

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親愛なるルイージ

今年に入ってからもまた『パンと恋と夢』を観ました。恐らく三度目か四度目だと思いますが、フィルムで、スクリーンで、映画館で観たのは今回が初めてでした。いつも以上に、ジーナ・ロロブリージダにニヤニヤし、ヴィットリオ・デ・シーカに声を上げて笑いました。ジーナのかわいい膝下、「アァー、バッロー!!」はいつでもすぐに甦ります。

あなたが演出した『ブーベの恋人』のクラウディア・カルディナーレに恋をしました、短い髪、白いブラウスは忘れられません。ジーナも良かったですけど『パンと恋と夢』のマリア・ピア・カズィリオは『ウンベルトD』の彼女とはまた違った魅力がありました、マリア・ピア(10代)とジーナ(20代)、そしてデ・シーカの相手役にマリーザ・メルリーニ(30代)、そして家政婦にティナ・ピーカ(70代目前)を料理し切ったあたり、冴えてましたよ、あなた。僕のパニーノやスパゲッティやリゾットにもfantasia(空想、夢)が入るようになったのも、「何挟んで食べてんだ、パンに?」「へへ、夢でさぁ、署長」なんて言う台詞を盛り込んだ作品を撮ったあなたのおかげです。"La valigia dei sogni(夢が詰まった鞄)"では、こっちに来て映画保存の授業に参加したときに、「物質としてのフィルム」周辺の面白い映像をたくさん見せてもらいました、今こそああいう映画をみんな観た方がよいですよね、日本でDVD化させてください。『ミラノの恋人』はステファニア・サンドレッリとジュリアーノ・ジェンマが出演しているということだけでビデオをダビングしましたが、あなたが監督しているんです、帰国したら必ず観ます。10代の頃観た『マルセリーノ・パーネ・ヴィーノ』はさっぱりわからなかったけど、今なら楽しめる気がします。

僕は今、ザヴァッティーニだとか、ネオレアリズモがどうだとか言ってますけど、「バラ色のネオレアリズモ」も大好きなんです。あなたは嫌がるかも知れない肩書きですし、「ネオレアリズモからの逃避だった」なんて言う者もいますが、それがどうした、今なら「あなたも正しかった」ことがみんな良くわかるはずです、当時の映画人、それぞれがそれぞれの道を模索した50年代だったんですもんね。

近々ボローニャのチネテカでもあなたの特集をやるでしょう。死んでから取り上げられるという世の中はどうかとも思いますが、死んでも取り上げられない映画人がどれくらいいるのかを思えば、やはりあなたは素晴らしい映画人ですし、観れるのであれば、喜んで、できる限り観たいと思うのです。

ではまた。

『KANTA CANTA LA VITA』より

by kantacantalavita | 2007-04-07 04:57 | 映画とは何か(cinemaについて)


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