人気ブログランキング |

KANTA CANTA LA VITA

forsecanto.exblog.jp
ブログトップ
2007年 05月 18日

外部連載コラム裏話その7

ようやく(!)DVDの話を終えることができました。大体にして物を書くときに見切り発車なことが多いのですが、今回ばっかりは痛い目にあっている感覚が最後まで抜けませんでした。

まず、DVD商品で「映画を語る」試みに対する準備の無さ。様々な局面で情報不足に悩み、結局「わかりません」とか、「困りました」とかレトリックではなく言ってるのには、本当に自分でもつらかったです。新しいことの発見を報告する論文でも、これまでの研究を整理したノートでもない、コラムというスタイルを甘く見ていたというか、軽んじていた部分が少なからずあります。いずれにおいてもモノを書くということは、そしてそれを人の目に触れるところに掲載するということは、無責任でいてはいけないはずなのに、事実丸投げしていることには自身ずいぶん苦しんだのです。

次いで襲われた、自らの力不足という現実。準備不足で力不足じゃ、書けるものも書けません。ひとつひとつの題材をもう少し大切にしたかったんです、本当は。

でも、色々とわかったこともあります。書いていて、「これは面白くなるぞぅ!」という気持ちの高ぶりはあったんです。多くの人にとって、こいつはいったい何をそんなに大声で叫んでるんだ、という面ばかりが露になった連載でしたが、目の付け所は悪くない、その意識は一応の終わりを迎えた今も持っています。その意味で、「『ポンペイ最後の日』論序説」なんて言葉を用いてしまったわけです。

---------------------------------------------------------

DVDはとても便利です。デジタルの良さは、映画の裾野を広げたこと、つまり撮る人も見る人も売る人も買う人も選択肢が増えたことです。お金もそんなにかからない、というのも大きいですね。500円DVDなどは唖然とするばかりです。スチル写真にしても8mmフィルムにしても、今の世はやっぱり「フィルムは高い」という認識で落ち着きつつあります。

でも、フィルムはやっぱり良いですよ、きっと。

何よりデジタルは(少なくとも僕には)ややこしい。目に見えない数字だから持ち運びも便利で、コピーも簡単、ところが越えるべき壁が多い。今回の特集を組んで、一番の問題だったのは、僕のパソコンで、カゼリーニ版が普通には見れなかったことです。フォルダを開いて、4つに分けられたファイルをそれぞれ再生するためのプログラムを選択して要約映像に辿りつく、という具合で参りました。

ビデオ屋で働いていた経験から、言い訳のひとつのこういうのがあったのを知ってます。「ソフトとハードの相性ってあるんですよね」。事実、当のソフトは僕以外の多くの友人のパソコンでは何の問題もなく鑑賞できました。図書館からのレンタルの時も確かに、おかしいな、と思ったのを憶えています。すぐ止まるし、ある部分は完全に見えない。「勝手に再生」されない。まあ、パソコンで見れなくてもDVDプレイヤーで見れれば良いだろうと一瞬考えました。しかし。このDVDは日本の普通のプレイヤーでは見れません。「ああ、リージョンコードが違うんだね」、いや、一緒です、2です。問題はイタリアがPALで、日本がNTSCだということです。まあ今さらすべての規格を統一しろというのはずいぶん難しいことは想像できますが、それにしてもなんか変です。コーデックとか圧縮方式とかわかったようで実はいまだにさっぱりです。

ちょっと違いますけど、日本のインターネットの動画がイタリアで見れないって、インターネットの便利性が完全に失われてるような気がします。yahoo動画は、イタリアではまったく無意味です。

ならフィルムはそういう問題が一切ないかと言うとそうでもないんですけど、例えば映写の際の周波数の問題とかありますが、日本のように国内で50Hzと60Hzと違いがあることは稀なようですし、何よりフィルムそれ自体は同じなのです。

本来至極便利なはずのデジタルが、便利になりきれていないところに、それが抱える問題が見え隠れします。デジタルのことも「やりはじめれば」とても楽しくて、その分抜け出せなくなりそうな予感はあるのですけれど。

---------------------------------------------------------

こちらで何本か、DVDを購入し、研究に役立つであろう映像素材はVHSで入手しました。帰国して、いったいどうやって見るつもりなのでしょう、俺。

---------------------------------------------------------

外部連載コラム裏話その7_e0017332_22114158.jpg「フィルムはやっぱり良いですよ」などと書きましたが、なぜ良いのかについて考えております。もちろんあくまで「見る側の視点」で、です。映画を見るにつけ、一番大事なのはスクリーンが大きいことを挙げますが、それだけならフィルムは絶対条件ではなくなりつつあります。2005年3月に参加したデジタルとフィルムに関するシンポジウムで見たデジタル映像の美しさには驚愕しました(実にデジタルらしいミスもあったんですけど)し、そもそもデジタルで撮られた映像をフィルムで上映するというのはほとんど主流のひとつになりつつあります。「レコードのノイズが好き」的に、傷んだ映像に架空のノスタルジーを抱くことは本末転倒ですし、いつの日かデジタルがフィルムの画質を獲得したり、あるいはそれを超えてしまったときは何をもって「やっぱりフィルムだね!」と言ったら良いのでしょう。

レコードはジャケットが大きいから良いね、と言った風に、「フィルムはあのぺらぺらした『物っぽい』ところが良いのだよ」という立場には留まっていられないのです。

by kantacantalavita | 2007-05-18 20:45 | 映画とは何か(cinemaについて)


<< 2007/05/19 土曜日      2007/05/18 金曜日 >>